第255話 文化の違い

「これが魔王国の店か、報告にあった通り素晴らしい品を取り扱っているな。」

ラインは騒ぎになっていた店舗の視察に来ていた。

「兄上、魔王国の文化の高さがおわかりいただけたでしょうか?」

「ああ、フリードが言うのもよくわかった、これはラニアン王国が叶う物ではない。」

文化的な品にはその国の余裕が現れる、切羽詰まった国では文化が発展する事は無いのだが、店にある品をみる限り、様々な文化が多方面に成長しなければ作られない物も存在している。

中にはどうやって作るかも見当のつかない物まであるのだ、ラインも魔王国に敵わない事を肌で感じていた。


「兄上、一つ報告があります。」

「なんだ?」

「この店のオーナー、もしくはトップを任されている者が人族の可能性があります。」

「なんだと、魔王国の管轄の店を人族が?」

「はい、オープンの時に姿を見せていたようなのですがこの店を任されている鬼族の者が平伏していたそうです。」

「鬼族を平伏させるか・・・それだけでも一角の人物であろう。」

「はい、それと私は魔王様の酒宴にも人族がいた事を思い出し、もしかするとその者が魔王様の腹心として存在するのでは無いかと考えております。」

「魔王様の腹心の人族か、是非友好をもちたいところだが・・・」

フリードの話は魔王国には人族もおり、重用されているという事だ、何かあった時に人族の側に立ってくれそうな者がいることは心強いのだが、出来ることなら関係を深めたいと考える。


「ウォルフはいるか?」

ラインは少し考え三男のウォルフを呼ぶ。

「なんですか、兄上?」

「お前は魔王国に向かい人族で重用されている者を探してくれ。

くれぐれも失礼な真似はするなよ。」

「わかりました、すぐに向かいましょう。」

ウォルフは嬉しそうに答える。


「ウォルフ、嬉しそうだな?」

「もちろん、これほどの物がある国に向かうのです。他にもどんな物があるか、今から楽しみです。」

「楽しみにするのはいいが職務を忘れるな。」

「はい、兄上。」

多少なりの不安は残るがウォルフを魔王の下に送る事に変わりはない、ラインはくれぐれもと言って聞かせ送り出すのであった。

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