第254話 妹に・・・
「あら、お兄様どうなさいました?」
ヘリオスはマルリーヌの婚姻を決めた報告にやって来ていた。
「マルリーヌよ、今日はお前に婚姻相手を決めてきたのだ。」
「決めてきたって一方的ですわね、それは私に釣り合うような男なのでしょうか?」
「釣り合う男だ、というより、国の為にお前には嫁いでもらうしかない。」
「お兄様!それはさすがに強引すぎませんか?
私のはんりょとなる者は私に決める権利があるでしょう。」
「それはそのとおりなのだが・・・
今は平時では無い、お前に悪いが受けてもらうしか無いのだ。」
「お兄様、いつにも増して強引ですわね、それほどの事なのですか?」
「そうだ、ラインの話は聞いたか?」
「ライン侯爵のお話なら、噂で少々・・・」
「そうか、噂の事を抑える為にもお前を嫁がセル必要ができたのだ。」
「まあ、ライン侯爵の噂を抑えるのでしたら私が適任ですわね。
良いでしょう、私はお兄様の命令に従い嫁ぎましょう。」
「おお、マルリーヌ!国の為にすまん。」
「いえ、私が噂を潰して差し上げますわ。」
「頼もしい言葉だ、いやお前が受け入れてくれて本当に嬉しい限りだ。」
ヘリオスは懸念が晴れて喜んでいた。
そして部屋をあとにする・・・
「マルリーヌ様、おめでとうございます。」
侍女がマルリーヌにお祝いの言葉を投げかける。
「ありがとう、まあライン侯爵の女嫌いを無くせるのは絶世の美女の私しかいないというわけね。」
「そ、そうです、ライン侯爵は長年妻を娶らずにいたのはマルリーヌ様を迎え入れる機会を待っていたに違いありません。」
「そうでしょう、まあ多少年下と聞きますが、妻が歳上の方が上手くいくといいます。
まったく、仕方ありませんね。」
マルリーヌは仕方無いと口にしながらもニタニタと笑っている。
ラインは30手前の美男子であり、多くの女性がこれまで声をかけていたのだが、頑なに妻を娶ろうとはしなかった、その事が社交場でも大きな噂となり、男色家、少女性愛など不名誉な噂すら流れていたのだが、自分を思っての事だったのかと気持ち悪い笑顔を浮かべていた。
「マルリーヌ様、おめでとうございます。
これからは北方に向かう準備が必要になりますね。」
「いやよ、あんな田舎には行かないわ、ライン侯爵が私に会いに来るべきなのよ。」
「ですが・・・」
「うるさい!私に口答えする気?」
「申し訳ありません!!」
「身の程を知りなさい!まったくあなた程度の者はいくらでも代わりがきくのてすよく考えて口を開きなさい。」
マルリーヌの機嫌が悪くなり、侍女が謝りながら部屋から退出する、その事をマルリーヌは気に留める事も無く、ラインが迎えに来ることを夢想するのであった・・・
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