第250話 一族追放
「私が一族から追放される?」
ロンベル侯爵家からの正式な発表にプレザはかたまる、冒険者になる為に家を出たとはいえ、兄が当主なのだ、一族から追放されるとは夢にも思っていなかった。
プレザ自身、貴族として振る舞っていたつもりは無かったが、それでも心に穴が空くほどの衝撃を受けていた。
「やはり、クロエ王女の一件だろうか・・・
勝手に婚姻の話を出したことが怒りを買ってしまってしまったのかもしれないの。」
プレザは言い訳満載の書状をラインに送るのだが、返事は冷たい物であり、一族追放は免れない状況となっていた。
これに焦ったのはハーツである、
プレザとクロエの婚姻を押し進める為に北方にて健在な軍を保有するロンベル侯爵家とこ繋がりを強化するという名目を使用していたのだが、プレザがロンベル侯爵家から追放されてしまうとその名目が使用出来ない。
それどころか貴族籍を失えばただの平民となってしまう、ハーツは焦り、父ヘリオスに相談を持ちかける。
「父上、ライン侯爵の横暴をお聞きしましたか?」
「プレザを一族から追放するという話か?」
「はい、そのような暴挙を行うラインを侯爵にしておく訳にはいきません、今後の事も考えライン侯爵を隠居させ、代わりにプレザを侯爵に任命すべきだと思います。」
「簡単に言うな、今ライン侯爵は王国内で最大の軍を保有していると言ってもいい、争うわけにはいかない。」
「それはわかっております、ですので塩を止めるのです。」
「塩?」
「はい、ロンベル侯爵領には海が無く、長年他領から運び込んでおります、塩が無ければ軍のみならず領民も生活出来なくなるでしょう。」
「それはならん、ロンベル侯爵領民全てを苦しめる事になる!」
「父上、ライン侯爵は王家が決めた婚姻を潰すためにプレザを追放するという脅迫をしてきたのです。
国難の今、強い王家を示すためにもライン侯爵の脅迫に屈する訳にはいきません!」
「だが・・・」
「父上!このままでは王家の血が絶えることになるのです!
ご決断を!!」
「しかしだな・・・」
「父上!私が王になる為にはプレザの支えが必要なのです、どうかライン侯爵の暴挙を食い止めるチカラをお貸しください。」
「・・・まずは交渉から始める、その結果が塩を止める事になるかも知れんが極力被害が少なくするように。」
ヘリオスはハーツに押し切られ渋々受け入れるのであった・・・
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