第247話 使者フリード
「ライン殿は魔王国につくということで良いのだな?」
「はい、我が兄ラインは魔王国と争うつもりはございません、領地を安堵していただければ」それ以上を望むつもりはございません。
「良かろう、ライン領を引き続き治めるがよい。
もしラニアン王国が攻めてくるようならすぐに援軍を向かわせよう」
「よろしいのですか?」
「かまわん、魔王国は来る者を拒んだりはせぬ。
だが我が傘下に入る以上、魔族への迫害は許さん、人と魔族、ともに平等な法の下に裁くようにせよ。」
「それは勿論ですが、平等でよろしいのですか?」
「当然だ、傘下に入った以上、ライン領の民も我が民である、其処には人も魔族も関係無い。
我が民として法の下に統治するのみである。」
「ありがとうございます。
我が兄ラインも魔王様の寛大なご処置に感謝することでありましょう。」
「うむ、くれぐれも我等を裏切らぬようにするのだぞ、おい誰か我が国の法律書を使者に渡せ。」
クーラが声をかけると用意されていた法律書が届く。
「これを持ち帰りもし人族としてどうしても出来ない事があれば申し出よ、法を施行する前に話し合いの場を設けよう。」
「よろしいのですか?」
「各種族出来ぬ事はある、種族法として多少の融通は効かさねばならぬからな。」
「種族法ですか?」
「そうだ、仮に空を飛ぶ種族に何処でも町中で自由に飛ばれると不都合もあるだろう。
法とは互いに尊重してこそ意味がある。
人族を代表して出来ぬ事を申し出るが良い。
まあ、不都合が出た時でも構わぬのだが、施行する前の方が受け入れやすい事もあるだろう。
ライン殿とよく相談なされよ。」
フリードは深く頭を下げる、自分の何処かで魔族とは野蛮な者だと決めつけていた所があった。
しかし、魔王クーラからは明らかに野蛮な者ではない、法の下に国を治める姿は貴族の情緒により裁きが変わるラニアン王国より余程理性的な統治方法だ。
フリードは自らの不明を恥じるばかりであった。
「さてフリードよ、遠路遥々ご苦労であった、ささやかながら酒宴を用意した、今宵は旅の疲れを癒されるが良い。」
「ありがとうございます、お言葉に甘え楽しませていただきます。」
クーラの用意した宴はフリードにとって忘れられない物になるのはこの時フリードは思ってもいなかった・・・
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