第246話 諜報員
「ゴウ様の事を探る者がいる?」
ポメの町の混乱を鎮める為に滞在している中、クーラの下に知らせが入る。
「はっ、といえどゴウ様の事を知っている様子はありません。
魔族と友好的な人族を探している様子です。」
「なるほど、目端の利く者がゴウ様の存在に気が付いたということか・・・
よし、連れてこい。」
「はっ!」
クーラの命令で諜報活動をしていた者が捕縛される。
「人族よ、まずは名を名乗ってもらおうか?」
「わ、私はしがない商人、ワレンといいます、何故捕まったかわかりませぬが、どうか命ばかりはお助けを。」
「芝居はしなくていい、私は魔王クーラ、お前が諜報員と知って捕縛してある、対話を求めるなら正直に話せ。
さもなくば雇い主にいたるまで過酷な手段に出ることになるぞ。」
クーラはワレンに威圧をかける。
「・・・我が主は魔王様との争いを望んでおりません。
ラニアン王国を出て魔王国に降伏を考えております。」
「降るなら受け入れよう、だがそれだけではあるまい?人を探しているのだろう?」
「し、失礼しました。魔王国にて重用されている人族がいるとの噂を聞きつけ魔王国との仲介を頼もうとしておりました。」
「その方は魔族にとって大事な方だ、探るような真似は不愉快である、そのような事をせずとも正式な使者をよこせば話し合いに応じてやる。」
「本当でしょうか?」
「疑うというなら弓矢を持って話し合おうか?」
「いえ、そのような事は必要ありません。
我が主に伝え、使者を送るように致します。」
ワレンは解放され、すぐさまラインに報告に向う・・・
「なるほど、かなりの器のようだな。」
「はっ!私としましては正式な使者を送るほうが印象が良いかと思います。」
「して、ポメはどのような感じであった?」
「長く籠城していた為、疲弊した様子はありましたが魔王国からの大規模な食糧提供を受け大きな混乱はありませんでした、なお、領主はワンスキーがそのまま就任しているようです。」
「ワンスキーがそのままだと?
あの忠義者ならば軍が下がれば今一度ラニアン王国につくのではないか?」
「魔王国にとってそれは重要ではない様子でした、魔族にとって敵はハーツ殿下であり、ポメの落城前に捕縛に成功、一段落した模様にございます。」
「ならば、戦が終わるかも知れんが・・・
いや、正式な使者を出そう。
我等は魔王国につく。」
ラインはすぐにフリードを使者としてクーラのもとに送るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます