第239話 ゴミの始末

「さて、ゴミの始末をどうするか、それが一番の問題だ。」

クーラは重臣達を集めて会議をしていた。


「ゴウ様はどう言われているのだ?」

「任せると言われている、仲介に入ったとはいえ、あまりに酷い交渉だったからな。

助命を願う気になれなかったのだろう。

だが、あの方は人が死ぬ事を望まないだろう、ならばこそどうすればいいか話し合う必要がある。」


「主神様の神殿を汚したのだ、死刑しかないでしょう。

ゴウ様もわかってくださったから任せると言ってくれたに決まっています。」

「いや、だからこそ、ゴウ様のお気持ちを汲むのは大事な事なのでは?」

重臣の中でも意見が割れる、ゴウの慈悲深さを考え命は助けても良いのではないかという話も出る。


「ラニアン王国に停戦交渉として王族追放を要求していた、戦で捕縛した以上、それ以下であることは許されない。

だが、命を取る事はゴウ様への配慮として行わない。」

「魔王様、しかし、それだとどのような罰に?」

「両手と一物を切り落とす、さすれば王族として血を残す事も、人としても安穏に暮らすことはできまい。」

「確かに名案にございます。」

「あとはポメの町を落とすだけだが・・・」

「それならば捕虜を解放して町に向かわせましょう。」

「それなら今一度武器を手に取り反抗するだけであろう。」

「いえ、そうはならないと考えます。」

「何故だ?」

「ポメには食料が無く腐りかけた物ですら口にしている有り様のようです。

それがゴウ様の食料提供により美食にありつけた今、再び粗食に戻る事は難しいでしょう。

再度ゴウ様の食事を求めてくるのは必定かと。」

「なるほど・・・だがそれはゴウ様の負担にならないか?」

「ゴウ様に確認したところ、いつまでも無償提供とはいかないが販売店を設置して販売する事は問題無いそうです。」

「ふむ、ならば試してみるのも面白いかもしれん。」

ポメは堅固な町であり、無理に攻めると被害が大きくなる、搦め手で落とせるならそれも有りだと感じる。


ポメの町にいるワンスキーはハーツ達の壊滅を城壁の上から見ていた。

「住民を捨ててまで行った戦があの有り様か・・・」

ハーツが兵士の大半を引き連れて出陣した為、ポメの町はワンスキー麾下の兵とポメの町出身の者達ぐらいになり、籠城できるかも怪しい物であった。

その上食料も残りわずかとなっており、残された道は降伏しかない所まで来ていた。


ワンスキーは住民の代表になる者達を集め、現状を話し合い、今後のポメのあり方について話し合うのであった・・・

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