第238話 最低な扱い
降伏した兵士や捕縛された人達には食事が提供されていたが、ハーツは別の扱いを受けていた。
「おい、食事はまだか?
・・・おい!聞いているのか!」
「うるさいなぁ、いずれ来るから黙ってろ!」
魔族に取って絶対的に許せない相手であるハーツには当初食事も出さない予定だったのだが、ゴウが思いの外慈悲深い事に気付き、後日迫害がバレる事を恐れた重臣達の命令で最低限の食事の提供を行う事になったのだが、末端に至るまでニ嫌われているハーツである、手を抜ききった食事が用意される。
「おい、こんな物が食べれる訳が無いだろ!」
持ってこられた食事は硬いパンに野菜クズしかないスープだった。
「お前にはこれでも充分だよ!
ったく、さっさと首を斬れば早いのに。」
「そう言うな、今大事なのは、剣神様と創造神様の御親族に親しみを持ってもらう事だって上の奴らに言われてるだろ。」
「そりゃ、そうだけどさぁ。」
ハーツの見張りをする者達は忌々しくハーツを見る、主神の神殿の壁に落書きをしたのだ、その罪は許しがたい、感情的には今すぐにでも血祭りにしたいのだが、理性がそれを押し留めていた。
「お前ら指示があるまで殺すなよ。」
「隊長!わかっております!」
「はい!腕を斬り落とそうなんて考えていません!」
「まったく、こいつの扱いは魔王様を始め重臣の方々で検討中なのだ、俺達みたいな末端の者が手を出すと始末されるぞ。」
「こいつはどうなるのでしょう?」
「わからんが、魔王様も簡単には許さないだろう。なに
ゴウ様がどこまで擁護なさるか次第だな。」
「擁護しますかね?」
「わからない全てはゴウ様次第だな。」
兵士達が話している中、ハーツは食事に手を付けようとはしなかった。
「おい!食わないなら片付けるぞ。」
「こんなのは人が食べるものでは無い、さっさとの物を持ってこい!」
「そんなものがあるわけ無いだろう!食べないというなら片付けるだけだ。」
兵士は無慈悲に片付ける。
その夜、ハーツは産まれて初めて夕食を食べない夜を経験する。
「腹が減って眠れない・・・
おい、食べ物をもってこい!
兵士!聞こえていないのか!食べ物だ、食べ物を持ってくるんだ!」
食べ物を要求する声が響くのだが、兵士の誰もが無視をしていたのだった。
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