第237話 プレザと面会

「ゴウ様、プレザという者をご存知ですか?」

「プレザさんですか、たしかに知り合いの冒険者ですね。」

「そうでしたか、今回の捕虜の中にゴウ様のお名前を知っている者がおりました故に確認をと思いまして・・・

ゴウ様、如何になさいますか?」

「私が決めても良いのですか?」

「ええ、ご自由にお決めください。」

「取り敢えず会ってみます、こちらに連れてきて貰っても良いですか?」

「わかりました。」

こうして俺はプレザと会うことにしたのだが・・・


「ゴウさん何故魔族とともに行動しているのですか!」

「成り行きかな?」

「成り行きだなんて・・・貴方は人と魔族の諍いをどう思っているのですか?」

「諍いも何も、私はポメの町で訴えられましたからね、何も危害を加えない、むしろ歓迎されている魔族の肩を持つと思いませんか?」

「それでも人族を裏切るなんて!ゴウさん見損ないましたよ!」

プレザから厳しい言葉をぶつけられる。


「そうですか、それは残念です。

ですが、助けたはずの町の人に訴えられた身としては裏切ったのはラニアン王国のほうだと思ってますよ。

まあそれでも、抵抗しなければ住民の命を取らないように頼んでおりますので安心してください。」

「そんな事で許される話ではない、ゴウさんが裏切ったせいでハーツ殿下は捕縛され、多くの兵が処刑されかねない状況なんですよ。」

「兵士は処刑されませんよ、命を助ける約束ですので、ただハーツ王子はどうなるか。」

「何故だ!ハーツ殿下こそ助けるべき御方だ!」

「この戦争の原因ですからね、引き起こした者として責任を取る必要があります。

一応、命を助ける機会は合ったんですがラニアン王国から来た使者が酷すぎて・・・

これ以上の擁護は難しいですね。」

「ラニアン王国からの使者?それはどういう事だ?」

「あっ、ポメを離れた後、クロエ王女をルデンにいる王様に送り届けたんです。

その際、ハーツ王子の王族追放という事で停戦をする準備はできていたんですけど、その後の使者の態度が酷すぎて停戦が流れました。」

「そんな事が起きていたのか・・・」

「その結果、今回のポメへの侵攻になりました。」

「いや、それにしても早すぎるのでは?」

「それについては私のチカラですね、プレザさんも乗った船以外にも移動手段がありますのでルデン、イーヨ、ポメと移動を数日で行えます。」

「侵攻にゴウさんが手を貸しているじゃないか!」

「はぁ、私としたらラニアン王国に思い入れがあるわけではありません、むしろ訴えられてますのでその逆なのです。

その私がどちらの味方をするかといえばわかるでしょ?」

「少し訴えられたぐらいで、人族として恥ずかしい真似をして・・・

情けないとは思わないのですか?」

「まったく、そもそも私はラニアン王国に恩も義理もありません、クロエ王女を助け、マッサさん、プレザさん達を助け、住民に食料を提供して、避難してきた人達の保護も行いましたが、ラニアン王国がしてきた事は訴訟を起こしてきただけです。

私が関係を断っても仕方ないと思いませんか?」

「それは・・・

だが、ゴウさんに訴えを起こした者は既に処断した、問題は無いはずでしょう。」

「そうなんですね、今知りましたよ。

ただそれを知った所で感謝一つしてくれない人達に協力する気にはなれませんね。

食料提供も商人達が自分達で行った事になったんでしょ?」

「いや、それは・・・」

「まあそういう事です、命を助けるだけありがたいと思ってください。

話はそれだけです、では失礼します。」

話が終わったことを理解した兵士がプレザを抱えて連れ出す。


「まて!待ってくれ話はまだ終わっていない!

ゴウさん!ハーツ殿下をハーツ殿下を助けて・・・」

プレザは叫ぶものの、兵士は聞く耳を持たず連れ出すのだった。

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