第234話 ポメからも・・・
「あれはあの平民の施設ではないか!
いつの間に戻ってきたのだ!」
城壁や城からゴウが作った建物が見えていた。
追い詰められ、ゴウの到着を待っていたハーツにすれば待ち望んだ瞬間であった。
「誰かプレザを呼べ。」
ハーツは今後のことについてプレザを呼ぶ。
「ハーツ殿下、お呼びとあり参りました。」
「おお、プレザ、よく来てくれた。
お前を呼んだのは他でも無い、あの平民が戻ってきたのだ。」
「ゴウが帰って来たのですか?」
「そうだ、あれを見よ、あれは平民の施設であろう。」
ハーツがプレザをテラスへと案内し、遠目に見える施設を指差す。
「確かにゴウの作った建物に見えますね。
しかし・・・」
建物の建っている場所は少し違っていた、先日は港から直結で行けた場所だったのが少し離れたしかも魔王軍のど真ん中に建っているのだ。
「うむ、プレザが言いたい事もわかる、あそこまで辿り着く必要があるのだろう。」
「はい、魔王軍を突破せねばどうしようも無い場所になります。」
「そこでだ、全軍をもってあの施設を目指そうと思う。」
「全軍をもって向かう?
この町をどうするつもりですか?」
「この町はもうダメだな、民達は我等に怨嗟の声を上げ怨み節ばかりだ、このまま籠城することは難しいであろう、ならば敵の侵入を受けつけない場所に移動し立て籠もる事が良かろう。」
「ハーツ殿下、住民を・・・国民を見捨てるおつもりですか!」
「プレザ、今は何をおいても王太子たる我が身を守らねばならん。
わかってくれ。」
ハーツはプレザの肩に手を置き苦しいような表情を見せる。
その表情にプレザはハーツも苦しい決断をしているのだと感じるのであった。
「これは出過ぎた事を申しました。」
プレザはハーツにそれ以上強く言うことが出来なかった。
「プレザの言いたい事はわかる、ならばこそあの施設にたどり着き、町まで施設を作らせるのだ、さすれば住民達も安全な場所に移動することが出来る、私とて国民を見捨てるつもりは無い。」
ハーツは動ける兵を全て集める事にする、幸い魔王軍は動きを止めているように見える、各所を守ることで疲れていた兵を休ませる事に成功するのだった。
翌早朝・・・
「全軍突撃だ!」
日が出ると同時に門を開け、ゴウの作った施設を目指し突撃する、その軍の中には当然かのようにハーツの姿が見受けられるのであった。
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