第233話 前線

ポメの町、郊外に突如駅が出来る。

「何事だ!また不可思議な物が現れたぞ。

各隊無理に仕掛けるな、少し離れて様子を見るのだ。」

ポメを囲む魔王軍団長、鬼族のフルは先日の侵入出来ない建物からの攻撃をふまえ、守りを固め様子を伺っていた。


「フル、御苦労である!」

「クーラ陛下!何故ここに!」

そんな中現れるクーラに驚きを隠せなかった。

「うむ、フルには知らせが届いていなかったか、創造神様、剣神様の御親族が来訪されるという国を挙げての祝事があったのだ。」

「なんと!そのような祝事があったのですね。

しかし、それこそ何故此処に?それにその見慣れぬ施設は?」

「説明しよう、この施設は剣神様の御親族、ゴウ様のおチカラであり、創造神様のおチカラに似たチカラで建てられた物である。」

「なんと!剣神様の、いや創造神様のおチカラにございますか!」

「如何にも、当初ラニアン王国と縁があったようだが今や縁も切れ、我等のお味方となった。

くれぐれも粗相なきものとせよ。」

魔王クーラがわざわざ現地にまで現れ発した言葉に反対する者はいなかった。

後から降りてきた俺を歓迎する声となっていた。


「ゴウ様、こいつがポメの陥落を任せていた者にございます。」

「この人が・・・

先日は失礼しました、私が作った施設からの攻撃で被害が出たと思われます。

まずは謝罪致します。」

「いえ、戦場でのやり取りは致し方無い事にございます。ましてや当時ゴウ様は状況を知らなかったとお聞きしました。

ならば、武に生きる者として口にする事はありません。」

「フルさん・・・

感謝致します。」

俺は深く頭を下げる。

そして・・・


「フルさん、私のチカラで皆さんの今晩の食事をご用意したい、是非食べていってもらえないだろうか?」

「それはありがたい、戦場において食事は数少ない娯楽、部下も喜ぶ事でしょう。」

「そうですか、なら・・・」

俺は先日撤去したホテルとショッピングモールを作る。


「これは先日の・・・」

「今回は魔族の皆さんが入れてポメの人達は入れません、中には食事をする場所と宿泊所になっています、今晩は何処で何をいくら食べても無料となります。

存分にお楽しみください。」

「ありがとうございます、部下に代わり感謝致します。」


その日の夜に、久しぶりに羽目を外して食事を楽しむフル達の姿があった。

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