第232話 魔王、電車に乗る

「これが地球にある乗り物なのですね。」

クーラは電車を見ながら嬉しそうに話していた。


「はい、私が喚び出せる物は地球にある乗り物なんです。」

すでにポメまでの線路の敷設は終わっている、いつでも出発出来るのだが、現在急ぎ戦の支度をしている魔族の皆さんを待っているところなのだ。


「ゴウ様、もう出発してしまいましょう!」

「クーラさん、それは駄目でしょう、もう少し待ちましょう。」

早く乗りたいクーラを何故か俺がなだめる状態となっていた。


「ゴウさん、皆さん乗り込みましたよ。

乗り切れない方々は後続の電車に乗るように伝えました。」

「ミユキさん、ありがとう。

クーラさん出発しますけど準備は良いですか?」

「もちろんだ!さあ行こう!!」

待ちかねていたのだろう、出発と聞いた途端目の輝きが違っていた。


「はやい!早いですね!」

出発するとクーラは窓に張り付くように外の景色を眺めている。

「えーと、ポメまでは3時間で着く予定です。」

「3時間!!これほど多くの人を連れて3時間で移動出来るのですね!」

「はい、他に止まる駅もありませんし、直通で向かう為に早く移動する事が可能です。」

「なるほど、これがあれば移動が劇的に変わる・・・

ゴウ様、これほどの物を喚び出しどこかに負担は無いのですか?」

「まったくありません、そうですね感覚で言えば手を動かすぐらいの疲労感でしょうか?」

「手を動かすぐらいとは・・・

まったく疲労感が無いのですね。」

「はい、無いです。」

「ゴウ様、魔王国の各町にこの鉄道を敷設して貰うことは可能ですか?

勿論対価はお支払い致します。」

「良いですよ、それほど難しい事ではありませんし、ただ私が喚び出す施設、乗り物内での暴力行為は禁止させて貰っています。

暴力をした方は乗った駅の外に出されると周知してもらってもよろしいですか?」

「ゴウ様の乗り物に乗り暴れるような者に情けは必要ありません。

何処へなりと放りだして良いと布告しておきます。」

「わかりました、それなら何処に作るか詳しく検討しましょう。」

俺はポメに向かいながら魔王国の鉄道計画について話し合うのであった。


後日、布告を無視して電車内で暴れる者が出たのだが、布告の通り乗った駅の外に出される。

その姿を見た者達から追放された者は剣神様の領域で不心得な事をした恥晒しとして後ろ指を指される事になるのであった。

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