第230話 報告に・・・
ローズはさっさと送り届けられる事になる。
「くそっ!お前達覚えていろよ!」
ルデン前にある駅で解放されたローズは捨て台詞を残して城へと戻っていく。
「陛下!ゴウがラニアン王国を裏切り魔王国の下僕になりました。」
「なんだと!やはり平民は信用にならん!」
「ローズ、ゴウ様が魔王国についたというのは本当ですか!」
ヘリオスが憤る隣でクロエは表情を青くしている。
「はい、ジョージア王国の者共とともに魔王に媚を売っておりました。
人族とは思えぬ卑しさにございます。」
「ローズ口が過ぎます!そもそも交渉の結果はどうなったのです?」
「クロエ様、向こうに交渉する気が無かったのです、交渉になるはずがありません。」
「答えになっていません、兄上の王族追放は向こうも多少なりの理解を得ていた条件、ゴウさんの口添えもあれば停戦も可能だったはずです。」
「はっ、ですので私はまずハーツ王太子殿下の王太子の地位の剥奪を魔王国に伝えたところ、交渉の余地無く、決裂してしまいました。
まったく魔族共は交渉の何たるかも知らぬ者共にございます。」
クロエの目が点になる。
交渉出来る立場にラニアン王国はいない、このままだと滅亡の危機に瀕している状況でゴウの慈悲に縋り、兄の命を助ける唯一の方法だったのだ。
交渉が決裂した今、狙いであるハーツの命は風前の灯だろう。
「ローズ、あなたはなんということを・・・
ゴウさんはどうしているのです!ルデンに来ていないのですか!」
「あの平民なら魔王の手先としてジョージア王国使節とともにまだイーヨに残っています。
私は交渉結果を伝える為に先に戻って来たのです。」
「お父様、すぐに別の使者を!いえ私が直接話に行きます!どうか今すぐに向かわせてください!
今ならまだローズを連れてきた乗り物があるかも知れません、それに乗ればゴウさんの所に向かえるかも知れません!」
「クロエ、落ち着きなさい。」
「お父様、これは国家の一大事なのです!このままだとお兄様の命だけではありません!ラニアン王国が滅亡してしまいます!」
「大丈夫だ、奴等は兵站が尽き撤退したのだ、すぐにどうとか出来る訳が無い、それにな我が国も兵の再編を進めておる。
直ぐに攻勢に出れる。
魔王を討ち滅ぼすのも遠くないかもしれんな。」
ヘリオスは、大きく笑う。
魔王軍が一時引いた間に軍備を整えていたのだ、交渉がこれほど早く終わった事は予想外であったが、それでも多少なりの軍備は出来た、今度は負けぬと息巻くのだった・・・
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