第228話 浮いている・・・

ローズの言葉に冷たい視線が向けられる。

「ラニアン王国の外交官よ、そなたの話を聞くのはゴウ様がお連れした者だからだ。

そのゴウ様を蔑むような者の声を我等が聞くことはない。」

「待て!魔王国はすでに継戦能力が尽き、停戦を望んでいるのでは無いのか?」

「誰が言ったのかは知らんが今出陣しているのは一部の部族のみだ、本格的な戦が望みとあらば全力で相手をしてやろう。」

「待て待て!そのような事になればラニアン王国は・・・」

「滅びるだろう、だがそれに何の問題がある?

お前達は我々を敵として長年見ていたのだろう、その敵が牙を剥いただけの事。」

「それなら私が外交に来た意味が無い!

お前達は私の提案を受け入れるのだ!」


あまりの酷さにアリサを始めジョージア王国の一同は同じ人族として恥ずかしい思いをする。


「クーラさん、すみません。

私がこんな奴を連れてきたばかりに・・・」

俺も申し訳なくなり頭を下げる。


「ゴウ!お前からもなんとか言え!

魔王国は停戦後、ラニアン王国に賠償金を支払うまで交渉するのがお前の役目であろう!」

「・・・いつの間にそんな役目が出来たか知りませんがお断りします。

私は停戦したいというクロエさんの気持ちを汲んだだけです。

魔王国に無理な要求をするつもりもありません。

クーラさん、条件は先程私が言った事でよろしくお願いします。」

「わかりました、無抵抗な住民に危害を加えないように配慮いたしましょう。」

「ありがとうございます。

思っていた流れとは少し違いますが肩の荷が降りた気持ちですね。」


「待て!まだ話は・・・」

ローズが叫ぼうとするところをルートが押さえつける。

「何をする、離せ、離さんか!

私はラニアン王国、外交官だぞ!」

「見苦しい!外交官というのは国益の為、頭を下げ相手から譲歩を引き出す物だ!

お前がしているのはただの傲慢な押しつけだ!外交官を名乗るな!」

ルートの言葉が刺さったのか、押さえつけられた為かローズは言葉を失い静かになる。


「失礼しました、人族とはいえジョージア王国とラニアン王国は違う国です。

ジョージア王国はゴウ様に敬意を払っております。

魔王クーラ様を始め魔族の方々には誤解無きようにお願いします。」

「我々も同じとは思っていない、このような酷い者を外交官に任じる国と同じにしてはジョージア王国に失礼であろう。」

クーラの言葉にジョージア王国一行は一安心する。


「ルートさん。ローズさんを捕縛してください、これ以上交渉する必要もないでしょう。

あとはルデンに帰します。」

俺の決定に異論を言うものはいなかった・・・

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