第227話 外交

宴の二日後、俺達は話し合いの場を設けていた。

「なるほど、ジョージア王国は国交を開くということですか、それはこちらとしても、望む所です、まあ関税やルールについては細かく打ち合わせる必要があると思いますが特に問題無いと思います。」

最初に提案したジョージア王国との国交樹立は思いの外簡単に受け入れられる。


「ありがとうございます、これで私達の仕事は一安心といったところです。」

アリサは問題なく話が進んだ事に安堵していた。


「ゴウ様がお連れしたのです、国交樹立ぐらいは問題ありませんよ。

それに私達としてもゴウ様の下に行きたい者もいると思いますので。」

「そうですね、ゴウ様ありがとうございます。」

アリサはあえて会議の場で俺に礼を言う。


「まあ互いに利益になるならいいかな、クーラさん、ルールが出来たら航路を作ってもいいかな?」

「はい、ゴウ様にはお手数をおかけしますが、よろしくお願いします。」

ジョージア王国の話は特に問題が無いのだが・・・


「さて、ラニアン王国か・・・」

クーラは渋い顔をする。

ゴウの事を考えると停戦に同意は致し方無い所もあるのだが、それでも創造神が遺した壁に故意に傷をつけた罪は重い、国民感情的にも何らかの落とし所が必要なのだ。


「魔王よ、ラニアン王国としてはハーツ王太子殿下の王太子の地位の剥奪を考えている。

それで停戦せよ!」

ローズは自分の見せ場とばかりに堂々と胸を張り宣言する。

「ローズさん、それは私がお聞きした話と違いますが?」

アリサはすぐに訂正を求める、自分達はあくまでもラニアン王国と別の存在なのだと伝える意味もあった。


「アリサ王女、これはラニアン王国の問題です。

魔王よ、お前達が我が国の逆襲を恐れ停戦を模索しているのだろう。

今なら原因の一つだったハーツ王太子の王太子剥奪という罰をもって停戦としてやろう。」

あくまでも上から目線で話す言葉は魔王国の人では無くても苛立つ感じがする。


「クーラさん、一応聞いていた話としてはハーツ王太子の王族追放という話だったんだ。

ローズさん、どうなっているんでしょう?」

「ゴウ!これはラニアン王国と魔王国の話し合いだ、平民如きが口を挟むな!」

ローズの言葉に魔王国の面々がざわつき、敵意を向ける。


「皆さん、私は大丈夫ですから。」

俺は他の人をまず宥める。

「ローズさん、ここに来ているのは私の縁という事を忘れないでください。」

「黙れ、それとこれとは別の話だ、私は国の代表としてこの場に来ている。

褒美を求めるなら別の時にしろ!」


「・・・クーラさん、私の意見を言って良いですか?」

「ゴウ様のご意見ならいつでもどうぞ。」

「私としては国に関わらない民の助命を願います。」

「それはラニアン王国の国政に関わる者をどうしてもかまわないと?」

「なるべく命は助けてほしいと思いますが、その差配まで要求する事は控えます。」

「ありがたい、我々としてもやりやすくなる。

しかし、城にこもる奴等と戦うのです、多少なりの民への被害は致し方無い物が・・・」

「わかってます、それについては極力お願いします。」

「わかりました・・・」


「待て!ゴウ!何を勝手に決めている!

私の交渉の邪魔をするな!!」

ローズは誰にも響かない声を上げるのであった。

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