第224話 歓迎
手合わせを終えた俺は着替えをしたあと、宴の会場に向かう。
「ミユキ様、ゴウ様、御来訪!!」
会場の扉が開かれる。
「・・・ここまで歓迎されると怖いものがあるね。」
「少しありますね、見たところ鬼とか天狗、妖狐とか昔話に出るような方々がいらっしゃいますし。」
「まあ異世界に来たって実感出来る光景だよね。」
これまで比較的人族と関係があった俺達は会場に溢れるほどいる人では無い人に多少なりの驚きを覚える。
「ゴウ兄、軽く言ってるけど、普通じゃ無い光景ってわかってる?
アリサ王女様ですら固まってるよ。」
カスミの言葉にアリサに視線を向けると少し震えている様子が見えた。
「アリサさん大丈夫ですか?」
「・・・はい、と言いたいのですが、流石に怖いものがありますね。」
「まあ、歓迎してくれているので何かしてくることは無いと思いますよ。」
「歓迎されているのはゴウ様達であって、私達はただの同行者、不手際があればどうなるか・・・」
「大丈夫だとは思いますが、私からもクーラさんに話しておきます。」
「お願いします。」
「安心したまえ、我等は礼を知る。
ゴウ様が連れて来られたのだ、余程の事をせぬ限りその安全は保証する。
皆もよく聞け、この者達はミユキ様とゴウ様がお連れした客人である、何があっても命を取ることは許さん。
これは魔王としての命令だ、創造神様、剣神様に恥じる事の無いようにせよ。」
俺とアリサの話を聞いていたクーラが宣言することで安全は保証される。
「良いのですか?
その、何かするとは思いませんが、あのような事を言えば問題が起きるのでは?」
「大丈夫です、命を取らずとも取り押さえるぐらいは出来ますので、ゴウ様はお気になさる必要はありませんよ。」
クーラの余裕から人族を抑えるぐらいは簡単なのだろうと感じる。
「そんな些末な事より、我等に歓迎させてください。
皆もゴウ様と一献差し上げたいと待っているのです。
先程、私が独り占めした事を叱られましてね、どうか皆にもゴウ様と話す機会を頂けないでしょうか?」
「ええ、それは良いのですけど、ミユキさんはいいんですか?」
「そちらは、その私の妻リューンが話したいとの事で・・・」
クーラが視線を向けると既にミユキをはじめカスミ、アヤカも女性陣の囲みを受けている。
「え、えーと・・・」
「実はミユキ様達の髪の艶とかが気になるとか言っておりまして、是非聞きたいと・・・
失礼な事をしなければいいのですが・・・」
クーラも妻には弱いのか語尾が少し弱くなる。
「クーラ聞こえてますよ!私達がミユキ様達に危害くわえる訳がないでしょ!」
リューンの声にクーラが肩を竦める姿を見て俺は少し微笑ましく感じるのであった。
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