第223話 腕前
「クーラ様、ゴウ様と対峙なされて如何でしたか?」
「御本人は大した事ないと言っていたが実戦経験が少ないだけであろう、魔力に、剣捌き両方ともにともに一流と言っても過言ではあるまい。」
「それほどですか?」
「ああ、油断すれば一本どころか足を折られかねなかった。」
「クーラ様がですか!」
「竹刀を打ち込んでくる瞬間まで下段を狙ってくる雰囲気は無かった、あの速さと予備動作の無い太刀筋、防げる者は多くないだろう。」
「クーラ様、嬉しそうですね。」
「当然だ!伝説の桐谷流を味わえたのだぞ!しかも奥義の型も教えてくれると約束してくれたのだ!
生まれてきてこれほど良い日はあるまい!」
嬉しそうに興奮するクーラをラムはたしなめる。
「クーラ様、落ち着いてください。
ゴウ様はラニアン王国にも加担している御様子にございます、興奮し過ぎ王としての御判断を間違えませんように。」
「わかっている、だがゴウ様とミユキ様がお望みになられるなら停戦も致し方あるまい。」
「そうなのですが・・・」
「大丈夫だ、私も王としての責務は理解している。」
クーラは冷静に答えつつも、ゴウやミユキが王位を求めてきた場合、譲ることも有りかなと少し考えているのであった・・・
「ゴウさん、危ないことはしないでください。」
俺は部屋に入るとドレスを着たミユキ達がいた。
「ミユキさん、カスミちゃん、アヤカちゃんも似合ってるね、みんなかわいいよ。」
「ゴウさん誤魔化さないでください、危ない事は・・・」
「あれぐらいは普通だよ、クーラさんは攻撃してくるつもりは無いみたいだったし。」
「そんなのわかるんですか?相手は魔王ですよ。」
「うーん、あれなら本家の爺さんのほうが危ない、気に入らないと骨の一本は折りにくるからね。」
ミユキとアヤカは信じられないような表情を見せる。
「ゴウ兄、普通の人はわからないから・・・」
霧谷の者として桐谷本家の頭のおかしさを理解しているカスミは呆れながら話す。
「えっ、でも俺はリョウと違って簡単な訓練しか受けてないよ。」
「普通の日本人は訓練を受けないし、桐谷の剣は普通じゃないですよ。
ゴウ兄も学生時代にクラスメイトと剣道の授業で対戦相手を病院送りにしたって聞きましたよ。」
「あれは事故!そりゃ相手に悪い事をしたと思っているけど胴が傷んで脆くなっていたんだよ。」
俺は学生時代に胴を打ち込んだ相手の肋骨を折った事がある、馬鹿にされて怒っていたということもあるが胴が竹刀で割れるはずが無い、たまたま壊れていた胴を着けた相手の運が無かったのだ。
「お兄ちゃん、桐谷流がおかしいって認めようよ〜」
カスミの呆れたような声が聞こえるのであった。
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