第218話 外交官?

「ゴウ、私が外交官として魔王国へ赴く事になった案内せよ。」

ハーツの王族追放を受け入れた事を魔王国に伝える為に使者が同行するということだったのだが、やってきたのはクロエの騎士をしていたローズだった。


「ローズさんが外交官ですか?」

「私だと何か不服か?」

「いえ、護衛騎士と見受けていましたので、外交官として来られるとは思っていませんでした。」

「私の優秀さを見抜けぬとは愚かにも程があるな。」

ローズは意気揚々とやってきたのだが、彼女が選ばれたのには理由があった。


多くの貴族が魔王国に行きたくないという事、そして、ハーツの王族追放という必ず恨まれる仕事をやりたくない者が多数おり、一応貴族令嬢であり、ゴウ、アリサと面識がある事から押し付けるように選ばれたという経緯があった。

それでもローズは大任を受けたと喜びこの任務を受けているのだが・・・


「そうでしたか、では魔王国の首都に向かいますが用意はよろしいですか?」

「うむ、準備は出来ている。」

「本当によろしいのですか?

他に同行なされる方とか、クロエさんとかは来ないのですか?」


「くどいぞ!私が使者として選ばれたと言っているだろ!

おい、侍女、私を部屋に案内しろ。」

俺の後ろで待機していたミユキを侍女と呼び、案内するように言うのだが・・・

「貴様、ミユキ様を侍女呼ばわりするとは!!」

俺達の警護についていたトウゴから殺意が飛ぶ。


「ひぃぃ!!」

殺気に当てられローズから情けない声が聞こえる・・・

「トウゴさん、落ち着いてください。

ローズさん、ミユキさんは魔王国では大事な人なんです、言葉に気をつけたほうがいいですよ。」

ローズはコクコクと頷く。


先が思いやられると俺はため息を吐くのであった・・・


「ラニアン王国は自ら滅ぶつもりなのでしょうか?」

アリサはゴウとローズを見て呆れたように呟く。

どう考えても人選のミスである、騎士だったとはいえ、ローズに何か決める権限など無いだろう、それを他国への使者に任じるなど相手を侮辱するようなものだ。

ましてや初手でミユキを侍女と呼ぶとは状況を理解していないにも程がある。


「ボルト子爵はどう見ますか?」

「人身御供でしょう、魔王国とどのような取り決めをしてもローズに決定するチカラは無く、ハーツの王族追放など出来るはずも無い。

こんなのは相手を馬鹿にしているとしか言いようが無い。」

「どうやらラニアン王国は魔王国を見下しているのでしょう。

ボルト子爵、ラニアン王国とは距離を取るように致します。

ルート子爵にも連絡し、ゴウ様に近づけないように差配してください。」

「かしこまりました。」

ローズが来たことは予想外ではあったがラニアン王国を見捨てる方針に決定する。


そんな事を知らずかローズの機嫌は絶好調であった。

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