第217話 婚姻相手に
「お父様落ち着いてください!」
「これが落ち着けるわけが無いだろう!クロエ、そのような男といて何かされなかったか!」
「えっ?」
「クロエを無理矢理娶ろうとするような男だ、邪な手で私の可愛いクロエを汚すとは・・・」
「私は何もされていません!
お父様誤解です!」
「そうなのか!大丈夫なのか!」
「はい、ですが私としては手を出して頂いた方が国を救う事になると思っております」
「クロエ、冗談でも言うものでは無い。
お前には既に何人も婚約者候補がいるではないか?」
現状、高位貴族の子息の何人かが候補として名が上がっており、魔王軍の侵攻が無ければ幾度かお見合いをしたあと、正式な婚約者を決める事になっていたはずなのだ。
「ゴウさんの価値はどの高位貴族より高い物です。」
「ならん!私が見たこともないような、ましてや平民など許せるはずがない!」
「お父様、今の国を救うのはゴウさんのおチカラが必要なのです。」
「ならんならん!この話は終わりだ!」
クロエの説得も虚しく終わる、逆にヘリオスの頭の中にゴウという名前が嫌悪する対象へのかわるだ。
「・・・わかりました、私の相手については後日あらためてお話しましょう。
ですがお父様、冷静にお考えください、お兄様を救う為にも停戦は不可欠なのです。
・・・せめて表向きだけ、いえ、今だけでも王族追放という形を取り、ラニアン王国の態勢を整える時ではありませんか?」
「今だけか・・・」
「現状どうやっても魔王軍に抗うのは難しいと存じます、ならばこそ魔王軍がお兄様の王族追放を望むなら形だけでも見せればよろしいのでは?」
「・・・たしかにポメを救う軍を編成する余裕は無い、このまま命を奪われるぐらいならば。」
ヘリオスはクロエの結婚の話を一度は激怒したがそれがかえって冷静さを取り戻すことになっていた。
「よかろう、クロエの提案を受け入れ魔王国にはハーツの王族追放を知らせよう。」
ヘリオスはハーツの追放を渋々受け入れるのだった。
翌朝、アリサ達のもとに使者がくる。
それにはハーツの王族追放を受け入れる旨が書かれていた。
「クロエ王女の説得が効きましたようですね。」
ただ、アリサはこの手紙をクロエが持って来なかった事に違和感を感じる、ゴウとの関係を考えればクロエが来てもおかしく無いのだ。
アリサはヘリオスからの書状とはいえ額面上で受け取ることは無かった。
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