第215話 報告を聞き・・・

「アリサ様、この国は駄目ですね。」

ボルトは駅で待っていたアリサに報告するなりラニアン王国を切り捨てていた。

「一応何があったか、報告しなさい。」

「はっ、その前にこれを。」

ボルトは受け取った宝石をアリサに差出す。

「これは?」

「私への口止め料でしょうか、色々不味い話になっていましたから我が国の対応を良くしようと渡して来たのでしょう。」

「王女の私がついてきている使節団に賄賂ですか・・・」

「これだけでも国が腐敗している事が想像できますね。

それに魔族の神を邪神扱いしておりました、関係性の維持はなさるべきではないかと。」

「邪神扱いですか!何故そのような事になるのです!」

「国王自ら自分の都合の良い事を教義に上げている、別の宗派を持ち上げ、今の創造神教を否定しておりました。」

「・・・なんと愚かな、魔王国が譲歩を示しているのに停戦を拒絶するつもりですか。」

アリサは頭の痛い思いをする、わざわざゴウが魔王国の譲歩を引き出しハーツ命を助ける事を交渉段階まで取り付けたのだ、そもそもポメの町は魔王軍に囲まれ陥落寸前である、このまま攻めればいずれハーツの命を奪うぐらい簡単な事だろう。


「一応、明日の朝まで待ちましょう、クロエ王女が事情を説明すれば、思い直すかも知れません。」

アリサはラニアン王国に呆れながらも、今回の事情をゴウへと報告に向かう。


「ゴウ様、使者が帰ってきたのですが・・・」

アリサは言いにくそうに事情を話してくれる。


「え、えーと、ポメの町が陥落寸前と予測出来るのだけど。」

「話し合いの場でポメの町の話は出なかったそうです。」

「ジョージア王国としてはどうするつもりですか?」

「基本的にはゴウ様の思いのままに従うつもりです。

ただ意見として言わせてもらえるならば、ラニアン王国と友好を結ぶのは無理かと思います。

このまま魔王国との友好関係を結ぶ事に変わりはありません。」

「そうだよね、俺はジョージア王国の判断に異議を唱えるつもりは無いかな。」

「ありがとうございます。

一応、明日の朝までラニアン王国の判断は待ちたいと思います。」

「わかりました、それなら何も反応が無ければ昼に出発しましょう。」

「はい。」

アリサは後ろに控えていた侍女に指示を出し、侍女は知らせに行ったのだろう部屋から出ていくのだが、アリサはそのまま部屋に残る事になる。


「あの、アリサさん、まだ何かありますか?」

「いえ、折角ゴウ様のお部屋に招かれたのです、政治的なお話以外にも色々してみたいと思いまして・・・

お時間も大丈夫でしょ?」

「まあ、予定も無いし・・・」

アリサは対面に座っていたのだが俺の隣へと座り直す。

「アリサさん?どうして隣に?」

「こちらの方がお話しやすいと思いまして・・・

おいやでしたか?」

アリサは瞳を潤ませる上目遣いで俺を見つめてくる。

美少女の懇願するような瞳に刃向かえる男はいないだろう。

俺はアリサと雑談を始めるのだった・・・

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