第211話 歓迎
門が開いた瞬間
ルデンの街の歓喜にクロエは固まる。
「クロエ王女万歳!」
「クロエ王女様!こっちを向いてください!」
「こ、これは・・・」
「クロエ様!やはり民達はクロエ様の偉大さを信じていたのです!」
帰国したことにより手枷を解かれ、クロエの隣に立つローズは我事のように喜んでいるがクロエの心中はそうでは無かった。
「クロエ様が、おられれば魔王軍など恐るるに足らないです!」
「ジョージア王国万歳、クロエ様万歳!!」
所狭しとクロエを讃える声が響く、それを聞けば聞くほどジョージア王国使節団団長ボトル子爵の表情は引き攣る。
「クロエ王女、これはどういう事です?」
「わかりません、お父様が感激しているにしては騒ぎすぎている気がしますし・・・」
「クロエ王女をお送りするだけのはずなのですが?」
「わかっております、ただ城に入らなければ事情もわかりません、ボトル子爵お手数ですが、どうか城までご同行ください。」
「私も任務ですので城には向かいますが・・・
老婆心ながら民への誤解は早く解かれることをおすすめ致します。」
「わかっております・・・」
城に着く前から使節団からは呆れるような空気が流れている、ラニアン王国とジョージア王国の思惑は大きくかけ離れていたのだ。
「クロエ!よくぞ援軍を連れて帰ってきてくれたな。」
城に入ると国王ヘリオスが入口まで来て出迎え、クロエをぎゅっと抱きしめる、王自ら入口まで来て出迎えるなど本来行わないのだが、国難を救ったクロエに対する功績の高さとヘリオスの親としての感情を合わせた結果であった。
「お父様、誤解があります、どうかお話を・・・」
「おお、使者殿、よくぞ来られた。
貴殿達の来訪を心より歓迎いたそう、さあまずは中に入られよ、心ながらのもてなしをしたい。」
ヘリオスはクロエから一度離れ、ボトルを歓迎する。
「ヘリオス王、我等は国の命を受けてこちらに参った次第、これが我が主君から預かった書状にございます。」
「おお、クルト国王からの書状であるか、喜んで受け取ろう。」
ヘリオスは書状を受け取る。
だが、内容を読み先程までの嬉しそうな表情は消えていくのであった・・・
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