第210話 ルデンに到着

「さて、ルデンに向かいましょうか。」

俺達一行はアクラ達に見送られながら、ルデンに向かい電車を走らせる。

俺達は笑顔で手を振るのだが、その様子に心中ただならない者もいる。


「どうすべきなのでしょうか、このままだと兄上が王家から追放されてしまいます、いえ、それだけではありません、ゴウさんどころかジョージア王国までもが魔王国に味方してしまいそうです。」

アクラとの話し合いのあと既にアリサはミユキと話す機会を多く持とうとしている様子だった、自分もゴウやミユキと直接話し合いたいのだが、ジョージア王国の者達が人の壁となり近づく事すら出来ない、電車に乗ってもその状況は続いており、友好関係の構築は夢のまた夢であった。


その頃ルデンでは魔王軍が引き上げ町の囲みを解いていた。

「やっと魔王軍が引き上げたか・・・」

国王ヘリオスは魔王軍が引き上げ事に安堵する、堅固な町ルデンに立て籠もっていたとはいえ、何時までも持つものでは無い、実際落城手前まで来ていたのだ、理由はわからないにしても魔王軍の撤退は心より喜ばしい物であった。


「陛下、町の近くに不可思議な物が出来ておりますが如何になさいましょう?」

「魔王国が作った訳では無いのか?」

「上から見る限り、魔王軍が出入りしている様子はありませんでした。」

「魔王軍が完全に引き上げたら調査を行う、調査隊を準備しておくのだ。」

「はっ!」

ヘリオスは調査隊を派遣する事にしていた・・・


「クロエ様が見つかりました、すぐに城にお連れします!」

調査隊の報告は思わぬものだった。

生き延びたかどうかもわからなかったクロエの発見報告に報告者すら喜びで振るえていた。


「よく生き延びてくれた・・・

だが、何故ルデンに来たのだ、血統を残す為にジョージア王国を目指したのでは無かったのか・・・」

ヘリオスは嬉しい反面複雑な思いであった。


「それがジョージア王国からの使者をお連れしております、また使者の中にジョージア王国アリサ王女の御姿もあったとの事にございます。」

「王女自ら使者として参ったのか!

クロエもよくやってくれた、短い間に友誼を持つことはさぞ難しかったであろう。」

「陛下、攻められている現状でアリサ王女の訪問はその身を守ること事は難しいのではないでしょか?」

「何を言っている、このルデンは内陸にある、使節団だけでこの街に来ているはずが無いだろう、近くに軍を引き連れ魔王軍を蹴散らして来ているはずだ、この街を囲んでいた奴らもジョージア王国を恐れ兵を退いたに決まっている。」

「しかし、軍を引き連れて来るには些か早くありませぬか?」

「だからこそ、クロエが頑張った証であろう、王女としてラニアン王国の民を思い、異国で孤軍奮闘、渋るジョージア王国を説得したと思えば・・・」

ヘリオスは目頭を押さえ涙をこらえる。

「急ぎ出迎える準備をするのだ、クロエは英雄となった!

国民に伝えよ、クロエがジョージア王国より援軍を連れて参ったと!

これより魔王軍を恐れる必要は無くなったのだと!」

ヘリオスの宣言にクロエを出迎える準備がすぐに行われるのだった。

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