第207話 関係は?

「これはめでたい話です、ゴウ殿、ミユキ様、どうか魔王国首都、イーヨにお越し願えませぬか?」

「首都に?」

「はい、魔王クーラ様は創造神ヨシノブ様の子孫にございます、必ずや歓迎なされることでしょう。」

「行くのは構わないのですが、私達はルデンに向かう予定があるのです、先にそちらを片付けてからでもよろしいですか?」

「そうでしたか、わかりました。

私達としましても国をあげての祝事、広く広める必要がございます。

トウゴ、ミユキ様とゴウ殿の護衛につけ、何人たりとて危害をくわえさすな。」

「はっ!これほどの大任、光栄にございます。」


「いやいや、護衛が無くても大丈夫です、私が作るエリアでは暴力を禁じれますし。」

「何事も抜け道がある場合があります、特に暴力以外でも危害を加える者がいる時もありますれば、トウゴを側に置くことをお許しいただきたい。」

「・・・わかりました、トウゴさん、よろしくお願いします。」

「はっ、ヨシノブ様とリョウ様の御親族に仕える事の出来る誉れ、感謝致します。」

トウゴは瞳に涙を潤ませるほど喜びに震えていた。


「あ、あの、話を聞くにミユキが創造神の親族でゴウさんも剣神の親族ということですか?」

クロエは話しを聞くのだが頭の中に入ってこず、混乱していた。


「ミユキ様を呼び捨てとはどういう事だ!」

アクラの敵意がクロエに向く。

「アクラさん抑えてください、いきなり対応を変える事は難しいと思います、元々私達は平民なのです、王族のクロエさんからすれば敬意を払う必要は無かったのですから。」

「しかし、神の系譜に連なる御方、ラニアン王族程度地面に平伏し出迎えるべき立場でしょう。」


「いやいや、ただの親族ですし、それに神になったとか聞いてませんから。

そうですよね、ミユキさん?」

ミユキもコクコクと頷いている。


「御二方がそう申されるなら、今はこれ以上言うことはありますまい。

しかし、めでたいものです。

創造神様と剣神様、ともに親友と伝わっておりましたが、その親族が結ばれているとなればどれほどお喜びになるか、命絶えた時の手土産に今から楽しみでなりませぬな。」

「命絶えた時などと簡単に言わないでくださ・・・

ちょ、結ばれるって、俺とミユキさんのこと?」

アクラのツッコミどころ満載の言葉に俺は動揺する。


「違うのですか?

ゴウ殿の後ろに控えておられるのでてっきり・・・」

「違いますよ、ミユキさんとはこちらで・・・」

「そのようなものです。

私はゴウさんから離れて暮らせない身なのです。」

頬を赤く染め話す言葉を聞いて奴隷だからと感じる者はいなかった、その場にいた者達はまだ結婚していないだけの関係なのだと理解する。


「これは失礼しました、他から口を挟むような事ではございませぬな。」

アクラは納得し、嬉しそうに頷いている。


俺はなんとか反論しようと口を開くのだが・・・

「ゴウさん。多くを語るのは恥ずかしいので・・・」

ミユキは俺の手を引き首を振る。


たしかに奴隷になっている事を多くの人に知らしめるのはプライバシー的な問題を感じる、俺は詳しく説明する事をやめるのであった。

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