第203話 通せんぼ
「モルト男爵、クロエ王女の動向を見張りなさい、ゴウ様のところに向かうようなら阻止するように。」
「はっ!」
「良いですか、ゴウ様は暴力を嫌っています、あくまでも行く手を阻むのみにしなさい、前に立ちはだかるだけで追放になる事は無いと思います。」
「わかりました、くれぐれも注意致します。」
アリサはこれまでの情報からゴウが呼び出した物の中で暴力行為に及んだ者は呼び出した物から追放されている事を知っていた、この船も同じ仕組みと考えるべきだろう、こちらから暴力行為に出ることは許されないがクロエをゴウのもとに行かせるわけにもいかない、できる事は前に立ちはだかり阻止する事なのだ。
「あの、どいてくれませんか?」
「この先はゴウ様のお部屋となっております、クロエ王女を通す訳には行きません。」
「ゴウさんのお部屋に向かっているのです、私を通すかゴウさんに取り次いでください。」
「ゴウ様はお休みになられるとおっしゃいました、取り次いで起こすことはできません。」
「・・・そうですか、それではまた後で来ます。」
「何度来ても通す訳には行きません、大人しく自室でお休みになられては?」
ゴウの知らない水面下で両国の対立が行われていた。
「クロエさん諦めたみたいだよ。」
クロエとモルトの争いをこっそりと確認していたアヤカが連絡に戻って来る。
「来ても部屋に入れるつもりはありませんけど、でも王女様がゴウさんの部屋に来ようとするなんて・・・」
「既成事実を狙っているのかな?」
「色仕掛でゴウ兄を誑かすつもりかな?
たしかにゴウ兄、責任感あるから、関係を持ったら情に流されそうだし・・・」
「それなら私が先に関係を持てば良いんですね。」
「ミユキさん!それも違うから!ゴウ兄は誰にも渡しません。」
「お二人とも少し静かに、ゴウさんはお休みになってるんです。
起こさないように静かにしましょう。」
言い争う二人をアヤカが止める。
「そうね、眠そうだったし、起こさないようにしないと・・・」
「そうよね、私達が声を荒げる事も無いよね。」
「そうです、それにもう少し待てば若い私が一番有利になるんですから、お二人はずっと待っててください。」
「「アヤカちゃん!!」」
「しずかにしましょう。」
結局女の子三人ともに、肉食獣かのようにゴウを狙っているのであった。
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