第202話 クロエ仕掛けるも

「それではルデンに向かいたいと思います、船に乗り、明日の昼ぐらいには到着すると思いますのでそれぞれゆっくりとお過ごしください。」

俺はみんなを船に案内して使い方を教えたあと、朝が早かった為に一眠りしようかと部屋に向かおうと・・・


「ゴウさん、この度は私の為に船を出していただき感謝いたします。」

クロエが御礼を言ってくる。

「ええ、望まぬ結果かも知れませんが、ちゃんとお連れ致します。」

「ゴウさん、魔王国との交渉に協力していただけるお話ですが・・・」

「できる事なら戦争が終わることに協力したいと思います、ですが魔王国の考えもあると思いますのでラニアン王国には譲歩してもらう必要がありますよ。」

「わかっています、その為にお父様のところに向かうのです。」

「賢明な御判断が出ることをお祈り致します。」

「つきましてはお父様がルデンにいた場合、ゴウさんに会っていただきたいのです。」

「私が王様に会うのですか?」

「はい、ゴウ様の口から魔王国について語っていただき、今後について・・・」


「お待ちください、クロエ王女、その役目の為に私達使節団がいるのです。

ゴウ様の手を煩わせる事ではありません。」

クロエの言葉を遮るようにアリサが話に入ってくる。

「アリサ王女、貴女はジョージア王国の王女です、どうしてもジョージア王国の思惑が発生すると思います、此処は中立なゴウ様から・・・」

「我が国ならまだしも他国のしかも訴えてくるような国の王にゴウ様の偉大さがわかるとでも?

対外的に平民の身であるゴウ様を侮り、侮辱するのがオチでしょう、ゴウ様の身の安全を考えればそのような事を認める訳にはいきません。」


クロエはアリサの言葉に悔しそうな表情を見せる。

実際、ゴウの価値がわかるのはそのチカラを見たものだけだろう、自国の城に連れて行く事さえ出来ればジョージア王国の影響を減らし取り込む事も出来るのではないかという希望的狙いだったのだ。


「アリサさんの言う通りですね、自分は平民ですので王様に会うような身分ではありません。

城に行けば面白く無い方もいるでしょう。」

アリサ達、ジョージア王国側はゴウから城に向かわない言質を取れたことに胸を撫で下ろす。

反対にクロエは悔しさに唇を噛む、ここまで上手くいかないとは・・・


「それでは私は少し休んでいますので皆さんは航海をお楽しみください。」

俺は前日の疲れもあり、眠気に襲われているのだ、足早に部屋に戻って一眠りするのだった。

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