第198話 アリサの宣言
「国家反逆罪ですか、それは流石に重いのでは・・・」
「モルト男爵、不満ならそのまま降りなさい。」
「いえ、不満ではありません!ですが国家反逆罪は言い過ぎのように感じた次第であります。」
「古の魔法使いであるゴウ様を王家に迎えるのは悲願と言ったはずです。
これは王家のみならず、我が国にとって最重要な事、皆も鉄道の利便性は既に理解出来ているでしょう。」
アリサは周囲を見回し言葉をかける、この場にいる全員が鉄道を利用したことがあり、各地の領地から王都に向かう旅程が安全に短縮されているかよく理解していた。
「我が国はゴウ様を失う訳にはいきません、幸いゴウ様はお優しいお方です、懐に飛び込んだ者を無碍にするようなお方ではありません。
私は今日よりゴウ様の懐に飛び込むベく、極力お側に参る次第です。
その姿は王女としてはしたない行為かも知れませんがくれぐれも邪魔をしないように、良いですね。」
アリサの厳しい言葉に同行者全員にビシッと気合が入る。
アリサの言葉に古の魔法使いを迎えるという悲願が現実の物のように感じたのだ、それを邪魔などすれば後世になんと呼ばれる事か・・・
ラニアン王国と違い、ジョージア王国では古の魔法使いの存在が大きかった、その為ゴウに対しても敬意の下地は充分に存在している、その上アリサが宣言することにより誰も否定することは出来ない。
ジョージア王国ではローズのような者は現れないのだった。
「ルートさん、なんかジョージア王国の方々の目が怖いぐらい熱いのですけど。」
「・・・これも全てゴウ様への敬意の現れです。
抑えきれない気持ちをどうかお許しください。」
「悪意は感じないけど、なんか恥ずかしいよね。」
「申し訳ありません。」
ルートは気まずそうに謝罪する。
ゴウに対して熱い視線を向けるのはアリサの演説の影響である、古の魔法使いをジョージア王国に迎える使命に燃えるのはアリサだけでは無いのだ。
「ルートさんが謝る事ではないですよ、危害が加えられる訳でもありませんし、もんだいはありませんから。」
俺としてはルートに謝ってほしい訳でも無い、古の魔法使いというのに敬意を払っている一環なのだと、仕方ない話として受け入れるだけなのだった。
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