第197話 お見舞いに
「ゴウ様、お身体は大丈夫ですか?」
ゴウの隣の車両に乗るアリサはゴウの体調不良を聞き見舞いに来ていた。
「大丈夫ですよ、心配性の家族が寝るように言っているだけで私自身は元気ですから。」
「そうですか、それなら一安心ですがゴウ様はお身体を最優先にお考えください。
今回の旅程はいくら時間が掛かっても構いません。
少しでもお身体に以上があるならお休みくださっていいのです。」
「いやいや、王女様が同行する使節団をお待たせする訳にはいかないと思うのですが。」
「私の事は構いませんよ、ゴウ様の所にいつまでも滞在する許可を得て来ておりますから、ゆっくりと旅路を楽しみましょう。」
「アリサさんも旅路を楽しむのですか?」
「もちろんです、私はその身分的な物もあり、あまり王都を離れた事が無いのです。
だからこそ、今回のゴウ様度ご一緒に旅行が出来る事を何より楽しみにしているのです。」
「そうですよね、旅は楽しい物ですから。
ゆっくりと楽しみましょう。」
俺は旅行を楽しみと言っているアリサに旅仲間を見つけたような嬉しい気持ちが少し出来た。
「はい、ゆっくりと・・・
お楽しみですね。」
ニコニコ笑っているアリサから心底楽しみにしている気持ちを感じるのだった。
「アリサ様、ゴウ様の体調を考え少しお休みになって頂いた方がよろしいのではないでしょうか?」
暫く歓談を続けていたのだが、アリサの侍女、デイジーが表情を青くしながらも必死に言葉を選びゴウから引き離そうとする。
「デイジー・・・
そうですね、ゴウ様、ごゆるりとお休みになられてください。」
アリサは一瞬、残念そうな表情を浮かべながらもすぐに笑顔をみせ礼をする。
その姿に俺は自分との会話を楽しみ、終わることを残念に思ってくれることが嬉しかった。
「ありがとうございます、またいつでもお越しください。」
「はい、『いつでも』来ますね、その時はお相手よろしくお願いいたします。
それでは失礼致します。」
アリサは言質を取ったとばかりに嬉しそうに自分の車両へと帰って行くのだった。
「デイジー、今の態度はなんですか?」
「アリサ様、あまり特定の男性と仲を深める行為はお控えになられた方がよろしいと存じます。」
「デイジー、貴女は考え違いをしています。
私の伴侶としてゴウ様は選ばれているのです、ゴウ様との仲を邪魔するというのでしたら貴女には私の侍女を離れてもらうしかありません。」
「申し訳ありません!」
「デイジー、忠告はしました。
今後ゴウ様は私の伴侶と思い言動に気をつけなさい。
・・・そうですね、この事は同行者全員で共有するべきでしょう。
使節団の所に向かいます。」
アリサはデイジーを連れ使節団度護衛騎士を集めて話をする。
「皆に告げます、私はゴウ様を婿として迎えるべく今後行動します、皆もゴウ様を私の婿と思い敬意を持って対応するよう厳しく命じます。」
「アリサ様、この事はクルト陛下はご存知なのですか?」
「当然です、ゴウ様を迎え入れる事は王家の悲願です。
ただ、ゴウ様は王家の権威に靡くような方ではありません、あくまでも仲を深める事が最重要と考えております。
皆に注意してもらいたいのはくれぐれも失礼な真似はしないように心得なさい。
それと私とゴウ様の婚姻に反対と思うなら今この場で今回の使節を降りなさい。
以後反対的行動を取った場合は国家反逆罪としてその一族に至るまで厳しい沙汰が出る物とよく覚えておくように。」
アリサは厳しく言い渡すのだった。
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