第196話 クロエ乗車

「ゴウは何処にいる!私のこの扱いに対して抗議したい、連れて来い!」

ラニアン王国に向かう一行がミユキに案内され列車に乗り込む中、手枷をつけられ罪人のような姿でローズは連れてこられていた。


「ローズ、黙りなさい。

皆様、お騒がせして申し訳ありません。」

「クロエ様!貴女の騎士がこのような理不尽な処遇を受けているのです、どうか御身を守る剣に相応しい処遇をお願いします。」

「ローズ、私は黙るように言ったはずです。

これ以上、私の言葉を無視するなら不敬罪にします。」

クロエはローズにこれまでに無いほど冷たく言い放つ。

クロエにとって数少ない身内であり、国を離れ権力を失ったクロエはローズに強く命令する権限など持ち合わせていない、ローズが不服に思いその剣を振るえばそれで全てが終わってしまう、その為多少の失言を注意だけでとどめてきていたのだが、これまでのローズの失言の積み重ねがゴウとの関係構築を阻害している部分もある。


これからラニアン王国に向かう間になんとしても関係を作らなければならないクロエにとって足を引っ張り兼ねないローズは先に制しておく必要があったのだ。


「ク、クロエさま・・・」

「ローズ、ラニアン王国の騎士を名乗るなら見苦しい言動は控えなさい、貴女の処遇はジョージア王国の決定です、これ以上ジョージア王国との関係悪化を避けなければならない以上、今の状況を受け入れるのも騎士の勤めと思うのです。」

ローズはクロエに厳しく言われた事により黙り込んでしまうのであった。


静かになったローズを連れてクロエ達は車両へと向かうのだが・・・

「ミユキさんでしたよね?

ゴウさんはどうしていますか?」

「ゴウさんは少し体調がすぐれないので先に車両に乗り休んでおります。

皆さんを案内出来ない事については誠に申し訳ありません。」

「まあ体調がお悪いのですね、それならお見舞いに行きたいのですが、よろしいですか?」

「申し訳ありません、本日は要人がお乗りの為、車両間の移動を制限しております、ゴウさんが滞在する先頭車両への移動は最後尾に滞在なされるクロエ様には出来ないようになっております。」

「そんな・・・」

「申し訳ありません、これはジョージア王国とも話し合った事です、余計なトラブルを防ぐ為にもどうかご了承ください。」

「わかりました、ゴウさんにはお身体を御自愛するようにお伝えください。」

「わかりました。

それでは港に到着までゆっくりとお過ごしください。

間もなく出発となります。」

ミユキはクロエ達を案内すると次の乗客の為に再び列車を降りて案内する。


「困りましたね・・・

このままだと、ゴウさんにいつ会えるか。」

クロエの苦悩は積もるのであった。

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