第195話 王女の目的

「アリサ王女、貴女が来るとはどういう事ですか?」

ゴウが部屋に戻ったあと、クロエはアリサに質問していた。

「クロエ王女、貴女がゴウ様を狙わないように私が直接見に来ただけです。」

「そ、それは・・・」

「クロエ王女が簡単に国を救う方法、それはゴウ様を取り込み、ラニアン王国の為に動いてもらう事でしょう。

違いましたか?」

「・・・」

「沈黙は肯定と言う事ですね。

まあお気持ちはわかります、亡国の危機ともなれば助けるチカラを持つものに身を捧げるのも王女としての使命でしょう。

ですがゴウ様は我がジョージア王国としても他国に譲る事の出来ない大事な御方なのです。

ゴウ様にはジョージア王家にその血を入れてもらうつもりです。」

「ゴウ様は平民ですよ、一国の王女のアリサ王女では嫁ぐ事は出来ないのではありませんか?」

「大丈夫です、我が国ではゴウ様をただの平民と思う者などおりません、その血を求めて高位貴族も機会を伺っているのです、王女の私がその身を捧げるのは至って普通の事なのです。」


「ジョージア王国ではゴウ様の価値はそれほどまでなのですね。」

「ご本人は気にしていないようですが、ゴウ様は既に国内での影響力もありますから、私としてはこの旅路で仲を深めたいと思っております。」

「・・・それは私としても同じことです。

我が国はゴウ様の救済無くば滅んでしまうのです。

アリサ王女には申し訳ありませんが引く訳にはいかない状況なのです。」

クロエもはっきり答える、此処に女の戦いが始まっていたのだ。


「クシュン!」

部屋に戻った俺は大きなクシャミをする。

「風邪かな?」

「ゴウさん、やっぱり治って無かったんですね!」

「待って!ミユキさん、治ってるから!大丈夫!」

「いえ、体がお疲れなのです、さあベッドに入って下さい。」

「いやいや、今日出発だからね!」

「それなら個室を用意しましょう、ゴウさんのチカラなら可能なんですよね?」

「大丈夫、全車両個室だから。」

港に向かう電車はそれぞれ個室ではないと問題になりそうな面子である。

アリサ王女とその関係者に2両、クロエ王女とローズに1両、ルート達と使節団に2両、自分達の1両を合わせ合計6両用意していた。

「それならゴウさんはゆっくり休んでくださいね。」

「わかりました、ミユキさん、皆さんの案内をよろしくお願いします。」

「はい、任せてください。」

俺は到着時間までゆっくりと自分達の車両で休むのであった・・・

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