第194話 同行

「あのぅ〜アリサさんはなぜ此処に?」

出発の朝、アリサ王女が侍女と護衛騎士を連れて旅支度と思われる荷物とともにやって来ていた。


「クロエ王女を送り返すのに国の代表がいないのでは拗れる話もあります。

私がジョージア王国を代表して使節として参ります。」

「アリサ王女ではなくとも、普通王子様とかが行うのでは?」

「恥ずかしながら、長兄のマーサは病弱な身でございまして、他国に向かう事は難しく、次兄のリスクはゴウ様に失礼な真似をしました。

三兄のグランは問題無いのですが問題無いからこそ国を離れる訳にはいかないのです。」

言われてみると思ったより人がいない?

俺はアリサの言葉に流れそうに・・・


「いやいや、他にも王族の方とかいるのではないですか?」

「なんのことかしら?

ゴウ様は私と出かけるのがお嫌なのですか?」

アリサは瞳を潤ませ見つめてくる。

俺は助け舟を求めてルートに視線を送るとルートは申し訳無さそうに視線を逸らす。


「アリサさん、たしかに船や鉄道の安全性には自信がありますが、王女様が私のような者と出かけるということに問題があるのでは無いですか?」

「ありません。」

「えーーー、あるでしょ!もっとよく考えてください。」

「ありませんよ、お父様もお認めになってますし、何か合った場合ももちろん想定しておりますから。」

「ルートさん!!」

「ゴウ様、この事については王命が下っておりまして、私の意見ではどうにもならないのです。」

俺はたまらずルートに助けを求めたのだが結局助かる事は無かった。


「しかし、旅路の危険と他国との交渉は危険もあると思います、それは大丈夫なのですか?」

「直接交渉に出向くのは他の者です、私はゴウ様とご一緒させてもらい、王家の者として現地で判断する為に参るのです。」

「直接交渉はしない?」

「はい、私が人質に取られる可能性もありますから、ですが遠い地で何回も往復するのは時間の無駄です、私が近くにいる事で使節も私に判断を任せる事が出来るのです。

ゴウ様にはお手数になると思いますがどうかよろしくお願いします。」

「わかりました、お城での生活より快適とは言えませんがそれでもよろしければご同行下さい。」

俺はアリサが引きそうに無い事を感じ、諦めに似た思いで受け入れる事にするのだった。

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