第192話 挨拶に

「ゴウさん、この度は帰国する事への御配慮ありがとうございます。」

帰国するにあたりクロエは駅を訪ねてくる。

「こちらに案内しておいて申し訳無いとは思います、このような事になった事は残念に思います。」

「いえ、ゴウさんのお陰で私を受け入れてもらえていたのです、そのことについて私が何か言える立場にございません。

ですがラニアン王国で合ったことについて教えてもらってもよろしいでしょうか?」

「ええ、わかりました、とはいえ私から見た視点になりますから公式に向かったルートさんとは少し違いますが・・・」

俺はラニアン王国であった事をクロエに説明する。

向こうに向かった際に商人のマッサと冒険者のプレザ達を助け、マッサの紹介も込みで港に店を出し食糧事情の改善とプレザからの口利きで王太子ハーツにあい魔王軍との橋頭堡を提供した上、町中まで攻め込まれた際には避難所として場所を提供、避難してきた人を受け入れていたのだが、争いが終わったあと、被害者が出てきて訴えられている事を告げる。


「え、えーと、かなり協力してくれていたのですね。

それなのに訴えられるなんて・・・」

クロエは自身が思っていたより多くの恩恵を受けていたにも関わらず訴えられている状況に思わず困惑していた。


「私のチカラから発生する利権が狙いみたいでしたね。」

「申し訳ありません、ラニアン王国王女として国民の不始末をお詫びいたします。」

「クロエさんが謝ることではありませんよ。

ただ私も人ですから、訴えられてまで助けるつもりはございません。」

「ゴウさん、私が必ずゴウさんの訴えを退けますからどうか今一度ラニアン王国の側に立ってもらえませんか?」

「・・・残念ながら魔王国と友好を深めましたから今更魔王国と敵対するつもりはありません。

ただ魔王国と話し合いたいと言うのなら間に立ってもいいと思ってはいますが?」

「それだけでも助かります。」

「ただし、王太子ハーツさんの首を魔王国は求めています。少なくとも廃嫡ぐらいはしないと話合いにもならないと思いますがクロエさんにできますか?」


「・・・兄の廃嫡は私の権限では難しいと思います、ですがお父様なら可能だと思います。」

「お父様ということはラニアン王国の国王になるのかな?

無事に何処かの町にいるのかな?」

「わかりません、ただ兄がポメに避難したようにお父様も別の町に避難している可能性は充分にあると思います。」

「仮に避難しているなら何処というのはわかる?」

「・・・たぶんですが旧都ルデンに入城したと思います、ルデンはポメと並び称される堅牢な町です、ポメにお父様がいないのであればルデンにいる可能性が高いと思います。」

「ルデンか・・・」

俺は地図を広げてルデンの位置を確認する。


「クロエさん、この町かな?」

俺は広げた地図のルデンの町を指差す。

「ええ、たぶんこの場所なのですが・・・

何故ゴウさんはこれ程精密な地図をお持ちなのですか?」

「これもチカラの一つかな?」

俺の作れるテナントの一つに本屋が発生していた、そこには地球の事だけでなく自分が訪れた国の地図も売られている事に気付き手元に用意していた。


「これほど詳しい地図は国家機密レベルなのですが・・・」

「まあ、販売は止めてますから。」

俺としてもこれがやばい事ぐらいはわかっている、販売するつもりは無かった。


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