第191話 クロエの考え・・・
「クロエ様、援軍を連れて帰るのでは無かったのですか!」
「ローズ、世論が魔王国との同盟に傾いた以上、私達に成す事はありません、国に戻り対応を考えるべきでしょう。」
「ですが陛下のご命令は一に血筋を残すこと、二に援軍を求める事です、援軍が求められないとしてもこの国に残りその血筋を後世に残される事が最重要と存じます。」
「ローズ、貴方はあのような相手との血を残せと言うのですか!
そもそも申し出てきている者達はラニアン王国の事など何も考えていない者達なのです、ラニアン王国王女としてその誇りを汚してまで血筋を残す意味を感じません。」
「しかし、これは陛下のご命令にございます。」
「・・・ローズ、私は何も考えていない訳では無いのです、血を残すなら最重要の方が一人おられます、その方と接点を持つ為にも一度ラニアン王国に帰る必要があります。」
「どちらの方なのですか?」
「ゴウさんです。」
「平民ではないですか!王族のクロエ様が嫁ぐ相手としては不充分だと存じます!」
「ローズ、貴女の目は節穴ですか。
ゴウさんの影響力は有力貴族より上と見るべきです、ましてラニアン王国に向かう為にはゴウさんの船をお借りするしか無いのです、ジョージア王国の者より、私達にとって大事な人がゴウさんになるのです。
貴女はそんなことも理解していなかったのですか。」
「申し訳ありません、しかし、あの者は平民で・・・」
「まだ平民と言いますか!
クルト陛下すら気を使っている様子に気付かなかったのですか?
あの様子を見るにゴウさんを貴族として迎え入れたいのでしょうが、何か理由が合って貴族として迎え入れる事が出来ていないと見るべきです。」
「そこまでの男でしょうか?
見る限り男として情けない男のような・・・」
「貴女が言っているのは単純なチカラの事ですか?
人は剣のみに生きるわけではありません。
ゴウさんのチカラは人に出来ない事をやってのける、不思議な物であり、それは他の誰にも所有していない稀有な物です。」
「私の浅慮にございます。」
「私の一番の失敗は城に来たことです、あのままゴウさんの側にいるべきだったのです・・・」
クロエは今に至り、ゴウの庇護を離れた事を後悔していた、あの時は援軍を求める為にも城にいることが最善と思っていたのだが、援軍を求める前にゴウとの関係を深め、後ろ盾になってもらっていれば優位に交渉することも可能だった事に気付いていたのだった。
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