第190話 クロエの身の振り方
「ゴウ様が心を痛める必要はございません。
クロエ王女とて縁のない他国に身を寄せる以上、それ相応の覚悟はなさっていた事でしょう。」
「とはいえ、女の子がろくでもない男に嫁ぐしかないと聞くとさすがにね。
・・・本人達の希望次第だけどラニアン王国に送る事は可能なのかな?」
「陛下にお伺いを立てる必要がございますが・・・
お聞きしてみましょうか?」
「お願いします、それとクロエ王女の希望も聞いてもらってもよろしいですか?」
「わかりました、ゴウ様がお望みとあらば喜んで聞きに行きましょう。」
俺はルートに確認をお願いするのだった。
「なに?クロエ王女をラニアン王国に帰すと?」
ルートはすぐにクルトにゴウの要望を届けに行っていた。
「はっ、ゴウ様はクロエ王女の身の不幸を憐れに思われ、最後の情けをかけようとしていると思われます。」
「さすが古の魔法使い、その情に厚い御方だ。
・・・我が国としてもゴウ殿の意見を無視してまでクロエ王女をどうとかするつもりは無い、クロエ王女の気持ち次第というのなら、ルートよ確認してみるのだ。」
「はっ!それでは確認してみます。」
「うむ、あくまでもゴウ殿の希望が最優先であると心せよ。」
クルトは一度拗れたゴウとの関係に一番心を砕いていたのだった。
「帰国ですか・・・」
「ええ、我が国はラニアン王国を支援することはございません。
とはいえ、クロエ王女に纏わりつくロクデナシというのも存在致します、血は残せるかも知れませんが、その身の不幸を憐れに思う方の御厚意で帰国を望まれるなら帰国させる許可を得ております。」
「・・・この国で私が何か成す事はもう無いという事なのですね。」
クロエは少し考える、現在クロエに関係を求めて来ているのは婚期を逃した・・・婚期を結ぶ事を他の貴族令嬢から断られた男達がほとんどである、その申し出は手紙からも嫌悪するほどに下卑た物が多く、その手紙を見るたびにクロエは自身の身を穢される恐怖に震えるのだった。
「どうなさいますか?」
「・・・わかりました、ゴウさんの御厚意に甘えさせてもらいます。」
「ゴウ様の御厚意とは申しておりませんが?」
「今の私に善意で考えてくれ、クルト陛下すら配慮なされる人は一人でございましょう。
ゴウさんにはよろしくお伝えください。」
「わかりました、ゴウ様に感謝していた旨をお伝えします。」
ルートはクロエの決断をクルトに報告したのち、ゴウに連絡する。
これによりクロエの帰国が決めるのであった・・・
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