第186話 討論会 結論
「たしかに、その可能性もあるか、創造神が創ったといわれる物にどれだけの価値を見出しているかはそれぞれの中の話ではあるしな・・・」
これまでのクロエのロビー活動の成果もあり、全員が見殺しにしようとはならなかった。
その事にクロエも少し安堵のため息が出る・・・
「次にですが、ゴウ様の扱いについて述べたいと思います。
ラニアン王国に着いた、寛大なゴウ様は当初食糧事情を考慮し格安の店を展開、そのおチカラで食糧事情に貢献、魔族に攻め込まれた際も避難民を受け入れ自ら炊き出しを行っておりました。」
「流石、古の魔法使い様だな。」
「ゴウ様ならさもありなん。」
ルートの言葉に一部の重鎮は自分達の事のように誇らしく思っていた。
「ですが、ラニアン王国がしたのはゴウ様の存在を無いものかのように扱い、更にゴウ様のチカラがもたらす利権欲しさに難癖を付けた被害届けを自分達の都合通りに動かせる裁判にかけようとしたのです。
その事にゴウ様も見切りをつけ、作られた施設を消去し、ジョージア王国に帰国なさったのです。」
「なんだと!ラニアン王国は恩を感じる事も出来ぬ国なのか!」
「そんな国を援助して何になる!」
「そもそも援軍を送るのもゴウ様のおチカラを頼る事になる事すら理解も出来ぬのか!」
先程までのクロエに対する同情の心は既に残されていなかった、ゴウを侮辱する事、それは長年古の魔法使いを求めていた者にとって許されざる話だったのだ。
「お、お待ち下さい、それはきっとなにかの間違い・・・いえ、なにかすれ違った事があるのだと思います、どうかお心をしずめてください・・・」
クロエが訴えかけるも本人すらその言葉になんの説得力が無い事を感じていた・・・
「結論が出たようだな、我が国は今回の援軍は・・・」
「陛下お待ち下さい、あと一つお話がございます。」
「まだあるのか?」
「はっ、帰路につく我等に魔王国から接触があり、ゴウ様とともに魔王国に向かいましたが、彼らは姿こそ異形であるものの理知的であり、我等と同じようにゴウ様に対して敬意を持って尽くしておりました、我等が手を結ぶべきは魔王国と存じ上げます。」
「えっ・・・」
顔面蒼白のクロエの表情がさらに悪くなる。
「人族と違うと聞き及んでいるが・・・」
「彼らは信仰心篤く、創造神を始め数多の神々を崇拝しております、その神々を否定すれば危険だと思われますが、それ以外は会話及び人間性に問題は無いと存じます。
これからの我が国の発展を思うなら魔王国との関係構築を考えるべきかと。」
「ゴウ殿はどのように思われているのだ?」
「ゴウ様も魔族の方々と縁を持たれたようでした、彼らの為に店を出し、当地に屋敷もお作りになられていました。
ジョージア王国と魔王国、どちらにお住まいになるかはゴウ様次第な所にございますがどちらにお住まいになられても縁を失わないよう、今から国交を作ることを提案いたします。」
「見事な調査報告である、我が国は魔王国との国交樹立について話し合いを始める、クロエ王女は退室なされよ。」
「お、お待ちを、ジョージア王国に見捨てられたら我が国は・・・」
「クロエ王女、貴国は救うに値し無い国のようである、だが貴殿を害するつもりは無い。
この国で血統を残されると良い。」
「お待ちをください、どうか皆様のお力をおかしください、お願いします!」
クロエは床に頭を擦り付ける懇願する。
「クロエ様!そのような姿をなさってはなりません!貴殿達はクロエ様のこのような姿を見ても何も思わぬのか!
それでも男か!」
ローズが罵声を浴びせるのだがそれは逆効果であった。
「連れ出せ、これ以上の暴言は許されぬと心せよ、貴殿達はこれより友好国の姫一行では無くなるのだ、それなりの振る舞いを心掛けねば身の安全は保証されぬと思え。」
重鎮の一人から投げかけられた言葉にローズは言葉につまる。
「既に話し合いは終わった、クロエ王女を部屋にお連れせよ。」
ローズに寄り添われ力無く部屋へと連れて行かれるクロエの瞳には大粒の涙が流れていたのだった・・・
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