第176話 神の名は

その夜、歓迎の宴が開かれ、俺はイヅナの隣に席を用意されていた。

「ゴウさんもいける口ですな。」

「これは日本酒ですよね、まさか異世界にあるなんて。」

「これも創造神様より伝わる品です、現物を地球より持ち込まれ、作れる用にしてくれたと伝わっております。」

「そうなんですね、ところで創造神様のお名前はなんと言うのでしょうか?

日本に縁のある神様ならもしかして私達も聞き覚えのある一柱かも知れません。」

「おっと、言っておりませんか、創造神様はヨシノブ様と申され、数多の神々の父にして、慈悲深い神様であったと伝わっております。」

「ヨシノブ様?随分日本名な神様ですね、私が知っている日本の神様は天照大御神とか素戔嗚尊とか名前の形式が違うと言うか・・・」

「創造神様はアマテラス様の末の子と伝わっております。」

「天照大御神の末の子か、私には記憶にありません。」

「それは残念な話ですな。」

イヅナは少し残念そうな表情を見せる。

「おチカラになれず申し訳ない。」

「いえいえ、流石に創造神様の事を知っているとは思っておりません、それより地球の事について教えてください。」

「地球かぁ、そうですね・・・」

俺は国の名前や文化についてイヅナの質問に答えながら話していた・・・


「ヨシノブ様か・・・」

少し離れた所に席があるミユキは少し呟く。

「ミユキさん、ヨシノブって名前に思い入れがあるんですか?」

隣に座っていたカスミがたずねる。

「親戚のお兄さんがヨシノブって名前だったの、と言ってもこの世界にくる前に亡くなったんだけど・・・」

「ごめんなさい。」

カスミは軽く聞くべきでなかったと謝罪する。

「いいの、大丈夫だから。

でもね優しいお兄さんだったの、私みたいに異世界に来て生きていてくれたらなって思ったの。」

「異世界に来てるかはわからないけど、きっと天国に行って幸せに暮らしていますよ。」

「そうよね、凄く優しいお兄さんだったんだ。」


「もしかしてミユキさんの初恋相手ですか?」

ミユキが優しい目をして名前を呼んでいたのを見てアヤカがたずねる。

「違います・・・あっ、でもどうだろ?

うーん、歳は離れていたからそんな気持ちは無いと思うけど、小さい時は懐いていたからもしかしたら初恋だったのかも知れない。」

「私の初恋はゴウさんです。」

アヤカ嬉しそうに呟く。

「私もゴウ兄さんだもん。」

負けじとカスミも呟く。

「ちょっと二人とも、私だってゴウさんの事は好きだからね。」

「でも初恋じゃないんでしょ?」

「わからないって言ってるの!もうからかわないでよ。」

女3人賑やかに話が盛り上がっていたのだった。

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