第173話 魔族の町へ

俺達はサンキの案内のもと、魔王軍が拠点にしている町シーモを訪ねる事にしていた。

「ルートさん私のワガママに付き合ってもらってすみません。」

「いえ、調査するにあたり両者を見る機会があることは望ましい事です、ましてや戦争の理由がゴミの尻拭いともなれば、我が国が血を流す理由は無くなります。」

「ゴウ様、シーモには地球の船用の港がございますので船はそちらに停泊してもらえますか?」

「この船は深くないと底がついてしまうけど大丈夫なのかな?」

「大丈夫です、千年の昔より主神様達がいつお戻りになられても良いようにご使用になられた施設の管理を行っております、当然水深も海に生きる者達が常時掘り水深百メートルを維持しておりますから安心してお入り下さい。」

「深過ぎない?」

「神話の時代には海を潜る神具も合ったと聞き及んでおります。」

「潜水艦みたいな物かな?」

「すいません、潜水艦が何かはわかりません、蒼龍という名だけが残っております。」

「蒼龍、龍の名前か、勇ましいよね。」

「そうです!勇ましい強さを持った神具だと伝承に残っておりました!」

サンキは目を輝かせている、その姿からも神話の神々に敬意を払い続けている事がよくわかる。


「しかし、地球と接点か・・・

サンキさん、神様は地球と行来できたのかな?」

「当時は様々な人が往来していたとあります、ですが創造神が地上から去り、五世の世に神具の扉が閉まってしまったと伝承にございました。」

「扉か、それって場所はわかりますか?」

「ええ、起動はしていませんが今も国宝として展示されております、お望みなら案内させてもらいます。」

「ええ、見てみたいですね。」

俺がサンキと和気あいあいと話している姿をルートは警戒しながら見ているのだが・・・


「サンキ殿に確認するがゴウ様に危害を加えるのなら。」

「ゴウ様に危害を加えるつもりは魔王軍にはありません、勿論ゴウ様のお連れの方にも危害を加えるつもりはありません。

ですが、貴方方が攻撃してくるならその時は私達も反撃しますのでご容赦ください。」

「私達もゴウ様に危害を加えないなら攻撃する気は無い。」

ルートは警戒しつつも、敵意を見せることは無くなる。

「人が魔族を警戒するのは仕方無い話です、ですが我等は敵対しないなら攻撃しません。

ゴウ様のように地球の方は特にです。

ゴウ様、もうすぐで到着となります、私のあとについてきてください。」

サンキは飛び立ち船の前を飛ぶ。


「さて、じゃあ、みんなは上陸する準備をしてください。」

警戒してくれるルートには悪いのだが、俺は初めて向かう魔族の町に心を踊らせているのだった。

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