第171話 思わぬ来客

帰路につく俺達に来客が訪れる・・・

「お待ちを!!お待ちください!!」


俺が涼みに外で風にあたっていると遠くから人の呼び声が聞こえてくる。

「えっ?なに?誰か何か言った?」

「ううん、ゴウ兄何も言ってないよ?」

隣にいたカスミに聞くが何も言ってないという。


「お待ちください!!」


「やっぱり聞こえるな?」

「私にも聞こえたよ。」

俺とカスミは周囲をキョロキョロと見回す。

すると天狗と思われるような人が俺達を呼び止めていた。

「えーと、呼んでたのは貴方ですか?」

「はい、私です。少しお話をさせてもらいたいのです、中に入れてもらえませんか?」

「えーと、じゃあ入れるようにするけど暴力を振るおうとしたら追い出されるけどそれでいい?」

「はい、ありがとうございます。」


「ゴウ兄さん!中に入れて大丈夫なの?」

「話に来た人の話を聞かないのも違うだろ?」

「人って、人?」

「天狗差別は良くないよ。」

「差別じゃなくて人として扱っていいの?」

「まあ、会話出来そうだし。

天狗さん、中へどうぞ。」

甲板に降りた天狗を俺は中のレストランに案内する。

そして、近くにいたミユキにお願いして、お茶と軽食を用意してもらう。


「ありがとうございます、私は魔王軍所属、天狗族のサンキと申します。」

「サンキさんですか、私はゴウといいます、特に所属しているところも無いので所属は無しといったところでしょうか。」

「所属無しなのですね、てっきりラニアン王国に所属されているのかと思いました。」

「ラニアン王国はたまたま来訪した国です。

それでお話とは?」

「はい、ゴウさんのこの船を見た族長がゴウ様は地球からお越しになった人なのでは無いかと考え、我等魔王軍に地球の方々と争うつもりが無い事をお伝えしに来ました。」

「地球を知っているのですか!」

「はい、我等は遥か昔、最高神の導きで地球よりこの地に平穏をもたらしに参った一族なのです。」

「魔王軍なのに平穏を?」

「魔王軍というのは初代魔王が別世界の魔王の血筋の持ち主だったから我等も名乗っているだけに過ぎません。」

「そうなんだ、でも平穏をもたらしに来た一族が何故ラニアン王国を攻めているんですか?」

「ラニアン王国が我等の主神を侮辱したからです。」

「主神を侮辱?」

「はい、ラニアン王国王太子が主神の像を見て、自分の妾として仕えるに相応しいなどと言う暴言を吐き、こともあろうか主神の神殿にラニアン王国夫人廟などと刻み込んだのです。」

「・・・えーと、戦争の理由ってそれなの?」

「はい!王太子の首を取るまで我等が退くことはありません!

ですが何も知らない地球の方々を巻き込むつもりもありませんので此処に使者として来た次第です。」

「じゃあ、ラニアン王国として謝罪と王太子の首があれば戦争は終わるという事なのかな?」

「はい、我等も統治の面倒臭い者達の面倒をみるのはお断りです。」

思わず判明する戦争の理由に俺は呆れ果てるのであった・・・

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