第168話 譲歩しない

「ゴウ様、商人風情に譲歩など必要ありません。私が叩き斬ってご覧にいれます。」

「ルートさん、そこまでしなくても良いよ、でもこれ以上何かする気にはなれないね。」

俺は道の駅、水上バス、そして、現在橋頭堡になっているショッピングモールを消す、そこに入っていた者は全員港へと送還した。


「一応この港は残して置くけど、帰ろうか。

ルートさんはもう一度城に向かいますか?」

「必要ありません、ゴウ様の御判断が正しいと存じます、少なくとも私は彼らを許せそうにありません。」

「そうですか、それなら帰りましょう。」

俺はその日のうちに荷物を纏めてジョージア王国へと帰っていく。


道の駅が消え、水上バスが無くなった事に商人と住民が混乱する中、特にマッサは驚きとともに恐怖を覚える。

現在食糧事情が改善されたのはゴウが用意してくれていた道の駅のお陰である、そして水上バスが消えた事によりゴウに対して何か言うことも出来なくなった事を意味していた。

「私はゴウさんを怒らせてしまったのか・・・」

無くなってからマッサは自分の失敗に気付く、自身の感覚で判断していたがそもそもゴウは別の国の人である、この国の司法に無理に従う必要など無い、そもそもゴウの利益になる事など今まで一度も無かったのだ、その中で賠償請求などすれば怒るのも無理の無い話だろう。

マッサはこのあとくるであろう、食糧危機に今から頭を悩ませるのであった。


「なんだと、橋頭堡から追い出されただと!」

港に送還されたイースは城に報告に上がっていた。

「はっ、本日気が付けば港におりました、その際船を探したのですが見当たりもいたしませんでした。」

ハーツとともに聞いていたプレザは顔面蒼白になっていた。

「どうしたプレザ?」

「ハーツ殿下、あの施設はゴウの御厚意で借り受けていた物にございます、もし我等にゴウが怒ったのなら追い出される可能性もございます。」

「我等に怒りを向けるだと?平民風情が生意気な話だ・・・

まあ良い、何かしらの恩賞を授けてやるから城に来いと伝えれば良かろう。」

「ハーツ殿下、ゴウは恩賞に靡くような男にございません、それより何に怒ったのか調べるのが先決かと。」

「忌々しい平民め!プレザ調べられるか?」

「商人のマッサなら事情を知っているかも知れません。」

「わかった、すぐに呼ぶが良い。」

ハーツは少しイラつきながらマッサの到着を待つのであった・・・

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