第167話 戦の後・・・
プレザの活躍もあり、町に侵入した魔族も討ち取られる、そして城壁ではワンスキーの善戦もあり、ハーツの援軍が間に合った事により、防戦に成功していた。
「ハーツ殿下、町に侵入した魔族はプレザ殿が討ち取った模様にございます。」
「なんと!プレザがやってくれたのか!
見事だ、これは褒美を取らせねばなるまい。」
プレザを英雄にしたいハーツにしては朗報であった、ハーツは大々的にプレザの功績を発表し、英雄の誕生を住民に知らしめる、それは町に侵入されたという失態を隠す為にも有り得ないほど過剰に発表された為、町中で大騒ぎとなっていた。
「ゴウ様への感謝も無いとは・・・
ゴウ様、この国を救う価値はあるのでしょうか?」
ルートは騒ぐ住民達の姿を見て不快感を覚えていた、魔族の襲撃があった際に無事に生き残れたのはゴウのお陰でではないか、それなのにろくに礼も言わずに水上バスに乗り、帰ったあとプレザを褒め讃えるのだ、ルートのみならず調査団全員が不快感を覚えていた。
「ルートさん、町の人にとって魔族から助けてくれたのは倒したプレザさんなんですよ。」
「それでも!いえ悔しいのはゴウ様でございますね。私が怒ることすら烏滸がましいものでございます。」
「私の代わりに怒ってくれた事はありがたいと思うよ、でもルートさんの仕事はこの国への援軍の有無でしょう。
私に対する思いでその判断を曇らせないように願います。」
「流石はゴウ様です。
その寛大なお心に敬服致します。」
俺達は一時の平和を取り戻した様子を外から眺めていたのだが、話は思わぬ方向に向かう。
「損害賠償?」
マッサ経由で届いた書状には俺の水上バスに乗れず亡くなった婦人の家族から損害賠償が請求される。
「そうなんです、私としては難癖だと否定させて貰ったのですが・・・」
マッサは気まずそうに話す。
「水上バスは誰でも乗れるようにしていたはずなんですが?」
「見た者によると男性を叩いた瞬間、何処かに消え、その後港で死体が見つかったとか、遺族達は船から無理矢理追い出したせいで亡くなったと言っておりまして、その船の所有者であるゴウさんの責任だと・・・」
「それでこの訴えは通るんですか?」
「・・・かなりの確率で通りそうなのです、」
「通るんですか?結構無理がありそうな話ですが?」
「亡くなった方の親族にヨクボという商人がおりまして、今回の一件を利用してゴウさんが持つ仕入先を手に入れようと画策している様子です。」
「一商人にそんな事が可能なの?」
「残念ながら司法にもヨクボ贔屓の者がおりまして、すでに罪を固めているとか・・・」
「ふーん、それでマッサさんはどうしたら良いと思う?」
「私としましては港の施設の収益を分ける事で落とし所を持っていけると思っています。」
「港の施設?道の駅のことかな?」
「はい、町が健全に戻ったあかつきにはあの施設も運用を開始するのでしょ?
その際に売上に一枚噛ませる事を約束すればヨクボも退くかと。」
「なるほど、つまり司法は役にたたないということ何だね。」
「恥ずかしながら・・・」
「わかった、マッサさん助言ありがとうございます。
私のすべきことがわかりましたので今日はここで失礼させてもらいます。」
「ゴウさん、心中お察しします。」
マッサの中の常識では大無理筋な話でも大商人ヨクボの前では司法すらネジ曲がってしまうのである、自分が間に入るとはいえゴウからある程度の譲歩が必要だと考えていたのだった。
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