第163話 追放者
「なんだ、何が起きたんだ?」
ゴウに追い出された冒険者ムドーは港に立っていた、そこではまだ水上バスへ乗り込んでいる人達が多少なり存在していた。
「くそっ、良くわからないが戻らないと。」
ムドーは水上バスに乗り込もうとするが見えない壁に阻まれ乗ることが出来ない。
「どうなっているんだ!乗せろ!乗せないか!」
どれだけ騒いでも水上バスに乗ることはてきない。
「兄ちゃん、乗らないなら邪魔だからどいてくれないか。」
ムドーは後ろで待っていた男に声をかけられる。
「この船はもう乗れないようだぞ。」
「そんな事はあるか、さっきまで乗っていただろ、ほらどけよ。」
男がムドーを押しのけて水上バスに乗ると普通に乗ることが出来る。
「なっ!」
「ほら、乗れるじゃないか。」
男はムドーにそう言うと船内に入っていく。
「なんで俺が乗れないんだよ!」
ムドーがどれほど不満を述べても船には入れない。
「冒険者さん、魔族が町の中に入ってきているみたいですから、乗れないなら此処から離れた方が良いと思いますよ。
幸い港に避難場所があるみたいです、そこに行かれては?」
ムドーの後ろで待っている人は
「避難場所があるのか?それはどこだ!」
「あそこに見える建物です、中に結構人がいますが一人ぐらいならまだ入れると思いますよ。」
「わかった。」
ムドーは道の駅に向かうのだが・・・
「なんでこっちも入れないんだよ!」
ムドーは自分の前に立ちはだかる見えない壁を怒りのままに蹴る。
「なんだ、なんだ?
おい、お前中に入れないのか?」
「そうなんだ、いったいどうなってやがるんだ!」
「・・・お前、まさか魔族か!」
「へっ?なんなんだ、なんでそんな話になるんどの!」
「ここは孤児だろうと盗人だろうと人なら入れるんだ!そこに入れないとなると魔族しかありえないだろ!」
「いやいや、どんな話なんだよ、俺はDランク冒険者ムドーだ。
誰か冒険者ギルドの人はいないのか?」
ムドーは持っていた冒険者証を見せた上に自分を知るものがいないか見回す。
「あっ、アイシャ、君なら俺の事を魔族じゃないと証明してくれるよな。」
ムドーは冒険者ギルドの受付嬢の一人アイシャを見つけ声をかける。
「・・・たしかにムドーさんは冒険者です。」
「だろ?」
「まさか魔族が冒険者登録してるなんて!!」
「はぁ!なんでそうなるんだよ!」
「おい!女子供は中に入れ!魔族が来たぞ!」
声を荒げたムドーに対して男達は女子供を施設内に入るように言い、ムドーを警戒する。
「だから、俺は魔族じゃ・・・」
違うと言いかけたムドーだったが視線の端に人ではない者が現れる。
「魔族だ!!魔族がきたぞ!!」
本物の魔族が港に姿を現すのであった・・・
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