第162話 落ち着きと混乱
住民が逃げ惑う中、ハーツは近衛兵を率いて出陣する。
「まずは城壁を取り返す、進め!」
城を出たハーツは城壁を取り戻す為に進軍を開始する。
途中、町に降りてきている魔族を撃破したものの魔族は町の中へと逃げていくのだった。
「一匹や二匹、追わなくてもよい、それより城壁の上だ、何としても取り戻せ!!」
「はっ!直ちに!」
ハーツに率いられた近衛兵は命じられるまま城壁を取り返しに向かう、今は一刻も早く城壁を取り戻すことが急務であり、町の混乱が落ち着くまでにはまだ時がかかるのであった。
「次から次に来るな。」
水上バスから人が次々にと降りてくる。
「おい、こっちにも毛布くれよ!」
「ここで飯を配っているんだろう、早くしてくれ!」
思いのほか次々とやって来る為に運び出す手が足りていない。
それぞれが忙しく動く中、一人の男がミユキを捕まえ・・・
「なぁ姉ちゃん、こっちで相手してくれねえか?」
「ちょっと、離してください。」
「いいじゃねえか、俺はこれでもそれなりに名のある冒険者なんだぜ。
ちゃんと対価は払ってやるからよ。」
「止めてください!」
「いいから、いいから・・・」
「おい、なにしてる?」
ミユキが絡まれている所に俺はやってくる。
「なんだ、お前?
文句があるって言うのか?ああん?」
冒険者は俺を睨む。
「文句はあるな、彼女は俺の物だ。
人の物に手を出していいと思っているのか?」
「お前のもんだって?
じゃあ彼女を置いてどっか行きな、それとも痛い目に合いたいっていうのか?」
「そうか、なら仕方無い。
お前には此処から出ていってもらう。」
「なんだと、テメェふざけた事を言いやがって、殴られたいのか?」
「お断りだ。
最後通告だ、このまま大人しくしているなら此処に避難してもいいが、これ以上騒ぐと言うなら出ていってもらう。」
「てめぇ俺を舐めやがって!いつまでそのスカした顔ができるか試してやるよ!」
冒険者は拳を振り上げるのだが・・・
その瞬間、その姿は消える。
「えっ?」
周囲で見ていた者は消えた冒険者に驚く。
「あ、あの、さっきの人は何処に・・・」
「此処での迷惑行為は追放の対象になります、さっきのヤツはこの埠頭から追放しました。
えーと、今頃町の港にいるはずです。」
「本当ですか?」
「はい、今後所有する施設に入ることはできません、皆さんも他人の迷惑になるような事は慎んでください。」
本当に港に飛ばされたのかはわからない、だがどこかに行ったことは間違いないのだ。
先程まで人の良い富豪に見えていたゴウの事に恐怖を覚える者もいた。
「ミユキさん、大丈夫でしたか?」
「はい、ゴウさんのお陰で助かりました。
それより・・・私はゴウさんの物なんですよね?」
「あっ、いや、それはね、その・・・」
「ふふ、そうですね。
私はゴウさんのモノですもの、これからもよろしくお願いします。」
ミユキは嬉しそうに俺の頬にキスをしてくるのだった。
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