第155話 城に向かうも
港に着いたルート達は案内人に案内されながら城を目指す。
「おや、籠城中の割には商店に活気がありますね。」
ルートが目に入ったのは籠城中にも関わらず、店に長蛇の列が出来ていたのだ。
「あれは商店が利益度外視で食料品を売り出しているんだ。」
「それは素晴らしい商人もいたものですね。」
「普段は金に汚い商人達ですが、今回の一件で見直しましたよ。」
「まあ、町の危機ということで愛国心が生まれたんですかね。」
案内人は笑いながら話すがルートの目は笑っていなかった、先日よりの雑談の中でゴウが食料品の援助を行っていると直接聞いていたのだが、案内人の言葉からゴウの名前は出てこない。
「商人とお聞きしましたが、その志ある商人の名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「ヨクボ商会とマッサ商会の二つが仕入れに大きく関わっていると聞いています。
あと冒険者のプレザがいたから食料品の運搬に成功したとか。」
「なるほど、ヨクボ商会とマッサ商会、そして冒険者のプレザですか。」
「何か入り用な物があれば利用なされるのも良いかも知れませんよ。」
「ええ、機会があれば訪ねたいと思います。」
ルートは聞いた名前を手帳に書き込む。
「さて、殿下がお待ちです。
先を急ぎましょう。」
案内人はルートの厳しい視線に気付く事無く城へと歩を進めるのであった。
その頃城では・・・
「本日、ジョージア王国よりの使者が来る、籠城で厳しい状況ではあるが、国の威信がかかっている、みすぼらしい姿は見せるな。」
ハーツの命令のもとに出迎える準備が完成していた、食料品は最近市井で売られている食材を買い集め、普段食べなくなった豪華な料理を用意し、貴族達は鎧を脱ぎ綺麗に整えた衣装に着替え、ルート達調査団の到着を待つ。
「ハーツ王太子殿下、指揮官の配置をもとに戻してください。」
防衛の総指揮を取っていたポメの領主ワンスキーがハーツに直訴していた。
「ワンスキー、これからジョージア王国の使節が来るというのに出迎えぬ訳にはいくまい。」
「しかし、各所で指揮を取る者達を集められては防衛に支障が出るやも知れません。」
「1日ぐらいなんとでもなるだろう、現にここ数日敵からの攻撃は少なくなっている、これもプレザの攻撃が効いているお陰だ。
それならば今やるべきはジョージア王国に弱みを見せず、威信を示した上で最大限の援軍を求める事が必要である。」
「ハーツ王太子殿下、敵に動きが無いのは作戦を考えているからかも知れません、警戒を解くべきでは無い、歓迎の宴を開くなら防衛に出ていない者達で行うべきです。」
「ワンスキー心配し過ぎだ、奴らは我軍の攻撃に手も足も出ないのだ。」
ワンスキーが何度か諌めるもののハーツは聞くことは無かった・・・
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