第149話 食事会
「ゴウ様、本当にこれを好きに食べて良いのですか?」
「ええ、好きな物を好きなだけ食べてください。」
ルートはビッュフェ方式の説明を受けたあと、そこに並べられた料理の種類に目を丸くして驚いていた。
「あっ、見慣れない料理もあると思いますがこれは私がいた世界の料理になります、お口に合えば良いのですが、合わなければ残されても構いませんよ。」
「いやいや、それも驚いていますがこれ程の歓待を受けるとは思ってもおらず・・・」
「お気になさらず、これがここの普通ですよ、さあ皆さんも好きな物を取って食事を楽しんでください。」
俺は固まる調査団に遠慮しないでと伝えたあと、俺が実際に料理を取る姿を見せる。
「カスミちゃん、ミユキさん、アヤカちゃんも取って、食事にしよう。」
「そうですね、私達が取る姿をみせれば皆さんも緊張しなくてすみますよね。」
ミユキとアヤカは俺に習い料理を取っていく。
「さあ、お兄ちゃんも言ってますので皆さんも遠慮なさらず、ここでは好きな物を取ってくださいね。」
カスミは固まるみんなにトレーとお皿を渡していく。
「みんな料理を取ろう、ゴウ様、感謝致します。」
ルートがやっと状況を飲み込み、動き始める。
それに習うかのように全員が動き始めた・・・
「うめぇ、うめぇよ!こんな料理たべた事ない。」
「おい、そんなにうまいのか、俺にもくれよ!」
「欲しけりゃ取ってこいよ、いくらでも出てくるぞ。」
料理の空いた皿はラクーンがすぐに取り替えにやってくる為に料理が無くなることはない、次から次にくる料理に驚きながらも今食べる物にも驚くといった忙しい状態であった。
「こんな味付けどうやっているんだ?」
「わからない、だか美味いということだけしかわからん。」
あまり調味料が発達していない世界である、地球の味付けの奥深さに検討もつかないのだが、それでも腹がはちきれんばかりに全員が食事を堪能していくのであった。
食事が終わり、ロビーには動けない程食べた者達が食後の休憩とばかりに椅子に座っていた・・・
「まさかゴウ様にこれ程歓待されるとは思っていなかったな。」
「ああ、いい部屋に泊めてもらい、豪華な食事まで用意してくれるなんてな。」
「それほど我々に期待なされているという事じゃないのか?」
「たしか向こうは魔族の攻撃を受けているんだったな。」
「ああ、きっと命懸けの調査になるのだろう、それを知っているからこそ、ゴウ様はこれ程の歓待をしてくれているのだと思う。」
「しかし、これは王命で行われている事なんだろ?
たしかラニアン王国の姫が直接直訴してきて、国として形だけでも行動する為とか聞いたが?」
「ラニアン王国の姫を連れてきたのがゴウ様だったそうだ、どうも遭難していた所を助けた縁で城まで送り届けたとか。」
「それってゴウ様に責任無いよな?」
「そうだな、あくまで陛下の命令で我々は動いているからな、ゴウ様は善意で協力してくれているに過ぎない。」
「なるほど、それほどお優しい御心をお持ちと言う事なんだな。」
「死地に赴く我らに最大限の歓待で報いてくれたという事か。」
「今一度、古の魔法使いゴウ様に感謝を!!」
その場にいた全員がこの場にいないゴウに感謝し、敬礼するのであった。
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