第148話 感謝感激
「ルート隊長、我々もこのような素晴らしい部屋に泊まってもいいのでしょうか?」
ゴウの分かれたあと調査団の一人、ウェイがルートのもとに確認に来ていた。
「ゴウ様の嬉しそうな表情を見ていただろう、ここはゴウ様に感謝し、お言葉に甘えさせてもらおう。」
「ですが!風呂付きの部屋など、我等平民出の兵士には贅沢すぎます!
それになんですか、このフカフカのベッドは!こんなベッド今まで見たことも聞いたこともありません!」
「それは同感だな、子爵の私でもこのようなベッドで寝たことなど無い。
だがこれがゴウ様にとって普通なのだろう。」
「しかし、あまりに恐縮し過ぎて落ち着けそうにありません!」
「ウェイ、私達は現在の魔法使いであるゴウ様の偉大さを伝えるという役目があるのだ、古の魔法使いユミ様の偉業が現代に伝わるように私達の言葉がゴウ様の歴史になるのだ。
ゴウ様に感謝しつつ、五感の全てを使い全てを感じ取るのだ。
恐縮している暇など無いと心せよ。」
「はっ!そうでございました、ゴウ様の偉業を伝えるのが我等の役目なのですね。」
「そうだ、ゴウ様の何気無い一言までしかと記録を残し、後で纏める必要がある。
しかと心得よ。」
「かしこまりました!他の皆にも伝えてきます。」
「それがいいな、ウェイみんなにもしかと伝えてくれ。」
「はっ!」
ウェイは全員にルートの言葉を伝えに行くのであった。
「ゴウさん、何か上機嫌ですね?」
鼻唄混じりにラウンジでコーヒーを飲んでいるとミユキな声をかけられる。
「あっ、これは恥ずかしい所を見せたね。」
「いえ、恥ずかしくは無いと思いますが、何か良いことあったんですか?」
「たいした事は無い、というか少し恥ずかしいけど褒められるって嬉しい事なんだなって思っただけだよ。」
「ルートさん物凄く感謝なさっていましたね。」
「そう、あんなに目を輝かせて、感謝してくれたらこっちもうれしくなるよね。」
「私達も日々感謝してますよ。」
「ミユキさん達が感謝してくれていることは知ってるよ。
ただ家族からの感謝とはちょっと違う感じなんだよ。」
「ふふ、家族ですか。
・・・そうですね、家族ですもの感謝してても日常の一コマになってしまいますものね。」
「そう、そんな感じ何だけど、お客さんに感謝されることは違うって事なんだよ。
それに何を説明しても驚いてくれてね、もうそれが楽しくて。」
ゴウの言う通り、これまでルート程純粋に感謝している人はあまりいなかった、その上、現代人からすれば豪華なホテルといえど使い方はだいたいわかる、ルート程驚く事は無いだろう。
「でも、良かったです、ゴウさんが上機嫌なのは私も嬉しくなりますから。」
「あはは、年甲斐も無く恥ずかしい姿を見せたね。」
「いいえ、可愛いと思いますよ。」
ミユキは俺の頬に軽くキスをする。
「ミユキさん!!」
「どうでしょう、もっと恥ずかしい姿を見せてもらってもよろしいですか?」
「そ、それって・・・」
「勿論、私もお見せ・・・」
「ミユキ、何をしてるの?」
しなだれかかるミユキにアヤカが声をかけてくる。
「アヤカちゃん!」
「ゴウさん、もうすぐ夕食の時間です、ミユキさんが呼びに来たはずなんですけど?」
アヤカはジロリとミユキを見る。
「あはは、そうでしたゴウさん、夕食の時間ですよぉ〜」
ミユキはバツの悪そうに伝えてくる。
「もうそんな時間だったのかい、すぐに向かうよ。」
俺は恥ずかしさもあり逃げるようにその場をあとにする。
「ミユキ、何をしてたの?」
「あはは、ちょっとだけお楽しみをしようかなぁ〜って。」
「・・・エッチ。
せめて部屋でしてよ。」
ミユキもアヤカの冷たい視線から逃げるようにゴウを追っていくのであった。
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