第144話 商人達は・・・
俺が開店した道の駅は現在商人達への仕入先となっており、毎日朝早くから商人達がつめかけ食料品を買い込んでいた。
「マッサ、いい仕入先を見つけてくれたな。」
マッサの先輩でもある、ヨクボはマッサの肩を叩いて喜んでいた。
「ヨクボさん、ここは戦争の間の臨時の店ですからね、価格もここの持ち主が最低限まで抑えてくれているのですから。」
「わかっている、だがこれだけの鮮度や綺麗な形の農産物を集めれるなら戦後も私達に提供してもらいたいな。」
「それはここの持ち主との話し合いになるでしょう。」
「たしかにな、戦後もこの値段で卸してくれたら私としては大歓迎なのだがな。」
ヨクボは笑いつつ商品を漁る、ゴウは気にしていないのだが、この道の駅では蜂蜜が売られていた、この世界で蜂蜜はかなりの高級品であり、本来なら銅貨1枚で手に入るような代物では無い、ヨクボは開店と同時にそれを見つけた、それ以降、ずっと買い占め備蓄していた。
「たしかに破格の値段で卸してくれていますが戦争中の食料の高騰を抑えるために善意で行ってくれるのです、ヨクボさんも銅貨2枚での販売の約束を守ってください。」
「わかってる、わかってる。」
ヨクボは軽く手を振り答える、実際蜂蜜以外の農作物は銅貨2枚で販売している、ただ備蓄しているだけなのだ。
そして多くの住民達は・・・
「いつもは金に汚い商人達を見直す事があるなんてな。」
「お陰で助かったよ、こんないい食料品を銅貨2枚なんて赤字もいいところだろ。」
「聞いたか?マッサ商店が船を出して買い込んで来たとか聞いたぞ。」
「じゃあなんで他の店舗も同じ値段で出しているんだ?」
「他も船を出したんじゃないか?」
「港に共用の倉庫を作って運びたしているって聞いたぞ。」
「なるほど、商人達が手を組んで町の為にやってくれているんだな。」
憶測が憶測を呼び、商人達の評価はうなぎ登りであった。
「いやぁヨクボさん達のお陰で今日も助かってますよ。」
「なに、同じ町の住民として助け合うのは当然ですよ、ただ戦争が終わったら儲けさせてくださいよ。」
「わかってるって、ただ高すぎるのは勘弁してくれよ。」
「もちろんですとも、今後も当店をご贔屓に。」
商人達は買いにくる客に真実を話すことは無かった、それぞれが顧客を得るために自分達が損をしている雰囲気を見せつつ恩を売り今後に繋げようとしていたのだ。
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