第142話 攻撃は・・・

「ハボさん、外に魔法が出るか試してみてください。」

「わかりました、ファイヤーボール。」

ハボが外に向けて魔法を打つが魔法が発動されない。

「ゴウさん駄目なようです。」

「ハボさん、杖の先だけ外に出して使ってみてください。」

「こうか?ファイヤーボール。」

今度は杖の先から火の球が出る。

「出たぞ!」

「なるほど、攻撃を禁止にしてるから領域内での魔法が禁止になっているのか。」


「ゴウさん、これなら攻撃できます。」

「ええ、できそうですね。」

「剣なら。」

プレザは剣を抜き外に向かい剣を振る。


「剣を振る事に問題無いようだ。」

「たぶんだけど、外に出た部分だけが殺傷能力があると思う。」

「なるほど、だがこれなら安全に戦えそうだな。」

プレザはハーツに良い報告が出来そうな事を喜んでいた。


「プレザさん、軍を連れてくるのは向こうの商業エリアにしてもらえませんか?」

俺はもう一つの埠頭を指差す。

「どうしました?こちらの方が広場もありますし戦い易いのですが?」

「いえ、この建物で寝泊まりしてますのでその目の前で殺伐とした物を見るのは少し・・・」

「たしかに庭先で軍が行動するのはあまり気分が良い物でもありませんか。

わかりました、ハーツ王太子殿下にも向こうの施設を軍事行動に使うようにお伝えしておきます。」

「よろしくお願いします。」


確認する事を追えたプレザ達はそのまま報告に向かっていく。


「ハーツ王太子殿下、確認を済ませて参りました。」

「おおプレザ、早くも結果が出たか?」

「はい、魔法は杖の先を結界の外に出せば使うことが出来ました。」

「結界の外?内側だとどうなったのだ?」

「発動しませんでした、結界内では攻撃が無効になるようです。

ただ剣を振るうことはできましたので身体を結界内に置き剣を振るう事で結界に押し寄せる敵を討つ事が可能かと。」

「うむ、それは朗報だ。

プレザよ、いい話を持ってきてくれたな。」

「ですが一つ条件があります。」

「なんだ?」

「軍事行動は殿下が見られた建物では無く、もう一つ向こうにある建物から行って欲しいとの事でした。」

「なに?軍事の行動を制限しろと言うのか!」

「殿下、ゴウが言うには住まいの目の前で殺戮をされるのが好ましく無いとの事でした。」

「そんな自分の都合だけだと、この戦でどれだけの民が苦しい思いをしていると思っているのだ!」

「殿下、気をお鎮めください。

ゴウは戦の事も知らない他国の者です、我らの苦労がわからないのも致し方無いかと。」

 

「わかった、プレザの顔を立て、特別に配慮してやる、ただしその者への褒美は無い物とする。」

「殿下、それは流石に・・・」

「私達に協力をしないと言うのだ、褒美も無いのが当然であろう。

プレザ、お主に攻撃隊の指揮を任せる、一軍を率い魔王軍に攻撃を加えるのだ。」

「殿下!

・・・いえ、拝命致します。

必ずや魔王軍を撃退してみせましょう。」

プレザはハーツを諌めようと考えたのだが、癇癪を起こしているハーツは人の話を聞かないところもある、今諌めても逆効果と思い口を噤む。

それに現場の指揮を任される事で部隊をもう一つの埠頭にすればいいだけだと考えるのであった。

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