第140話 ハーツと面会
「あなたがゴウですか?
私がハーツです。」
翌日、迎えに来たプレザに案内され港に着くとハーツが待っていた。
「これはおまたせして申し訳ありません。」
「いえいえ、私が早く着いただけですので、お気になさらず。」
王太子でありながら物腰の柔らかい雰囲気に俺はいい印象をうけていた。
「ゴウに聞きたいのですが、あそこに見える建物を作ったというのは本当ですか?」
ハーツは俺が作った埠頭を指差す。
「ええ、私が作りました、あの場所には魔物も入れませんので安全にすごせますよ。」
「プレザから話は聞いていたが、あれほどの建物をすぐに建てたのだな・・・」
ハーツは埠頭が出来上がった瞬間を見ていた、まさか海にいきなり建物が出来上がるなどとは自身が夢を見ているのではないかと疑ってしまう程の光景だったのだ。
「うん?魔物が入れないと言ったのか?」
「はい、私が建てる物には入場制限をかけれるのです。
現在あの建物は私達と許可証を発行した者しか入れないようにしております。」
「そのようなチカラまであるのか。」
「このチカラがあるからこそ海を渡る事も可能なのです。」
「失礼した、ゴウのチカラを疑うような事を言ってしまったな。」
「いえ、信じられないのも無理は無いかと。」
「それでゴウ、侵入出来ないと聞いたがこちらから攻撃する事はできるのか?」
「出来ると思いますが、何分試した事は無いので出来るとは言い切れません。」
「ならば、試してみようではないか、プレザ、お主の仲間に魔法使いがいたであろう、その者に攻撃させてみよ。
その結果次第では攻勢に出れるやもしれん。」
「はっ、ハーツ王太子殿下のお望みのままに。
ゴウさん、よろしいでしょうか?」
「ええ、いいですよ。」
「うむ、今日は良き日だな。
ラニアン王国に希望が見えてきた。」
ハーツの表情は晴れやかであった、魔王軍に王都を落とされ、先の見えない籠城を続けてきて初めてと言える朗報であった。
「ハーツ様に一つお伝えしたいことがございます。」
「ゴウ、なんだ言ってみよ。」
「私はクロエ様とお会いし、ジョージア王国の王城へお連れいたしました。」
「何だと!クロエは無事か!」
「はい、お元気そうでした。」
「そのような事はもっと早く言え!」
「申し訳ありません。」
「そうか、クロエは無事にジョージア王国についていたのか!」
「はい、現在ジョージア王国に援軍を求めておいでのようでした。」
「なんと、クロエはその任を果たそうとしていたのか・・・」
妹クロエの無事を聞き、そして健気に任務を果たそうとしている話を聞いたハーツの瞳には涙が浮かんでいた・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます