第135話 下船

「もちろん出来ることはします、ただポメを守っている方にも相談するべき事ですよね。

偉い人にすぐに相談なんてできるかな?」

「ハーツ王太子殿下は必ずお会いになってなってくれます!」 

プレザは力強く答える。

「プレザさんを信じない訳では無いけど、俺なんて他国の平民だよ、言っておくけど無理矢理に何かさせられるぐらいなら、さっさと出ていくから。」

俺はジョージア王国で登城した時を思い出していた。


「ハーツ王太子殿下はそのような方ではありません。」

「まあ、それも着いてからの話だよね。

今は道中を楽しみましょう。」

俺は深く掘り下げる事無く、飲み会を行うのであった。


「ゴウさん、もうすぐ着きますよ?」

「うぅ、頭が痛い・・・」

「お兄ちゃん飲み過ぎだよ、もう!」

「大きな声は止めて・・・」

「はい、お薬とお水。」

「ありがとうアヤカちゃん。」

二日酔いの俺は到着ギリギリまで寝ていたのだが、今だに回復しきっていなかった。


「他の人は降りる準備が出来てロビーで待ってるよ。」

「俺も行くけど、ちょっと待って・・・」

俺がヨタヨタ服を着替えようとするのだが、何故か3人とも部屋から出ていかない。

「ねぇ、服を着替えるんだけど?」

「うん、お手伝いするね?」

アヤカが元気に答えてくれる、


「お手伝いはいらないかな?」

「大丈夫、すぐに終わりますから」

言うが早いかミユキはさっと上着を脱がせる。


「えっ、ま、まって!!」

「ズボンは私が・・・」

アヤカがズボンをズルっと脱がせるのだが誤ってパンツまで・・・

「あっ、ゴウさん・・・」

「アヤカちゃん、見ないで!

二人も目を逸らして!」

「ゴウさん、朝から元気ですね。」

「朝だから仕方ないの!

ミユキさんも感想はいらないですから。

って、カスミちゃんその手はなにかな?」

俺は手を伸ばしてきたカスミの手を掴む。

「あはは・・・ちょっと鎮めようかなって・・・」

「その必要は無いからね、ほら全員部屋から出なさい。」

「「「はーい。」」」

3人が出ていくのだが・・・

「ゴウさん、スッキリしたい時はいつでも言ってくださいね。」

「ミユキさん!!」

ミユキが残した一言は俺の元気が収まる時間を長引かせるのだった。


「ゴウさん、おはようございます。

遅かったですね。

もうすぐ着きそうですよ。」

ロビーに来た俺にマッサが声をかけてくる。

「失礼しました、少し寝坊してしまいました。」

「昨晩、プレザ達と飲んでいたとか?」

「ええ、冒険者に会う機会が少なかった者で楽しい話を聞かせてもらいましたよ。」

「彼らはランクBの冒険者ですからね、中々の冒険談があったのでは無いですか?」

「ランクB?」

「ええ、聞きませんでしたか?

ランクはEからあって、彼らのBは一流とよんでもいいレベルですね。」

「なるほど、ちなみに最上位は?」

「Sランクがおりますが世界でも3人と聞きます。めったにお目にかかる人達では無いですね。」

「そうですか、まあ私は冒険とは縁が無い生活をしてますので尚更会うことは無さそうですね。」

魔物と遭遇することの無いチカラである、高位冒険者に頼る事などおそらく無いだろう。


「さあ船が着きましたよ、皆さん降りましょうか。」

あらかじめ作っておいたフェリーターミナルに降りていくのであった。

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