第133話 お客様
「お母さん、凄いよね、こんな大きなお風呂初めてだよ。」
リラは母のリモンと大浴場を満喫していた。
「本当にいいのかしら、私達ゴウさんに何もお返しするものが無いのに・・・」
「お母さんは気にし過ぎだよ、ゴウさんは優しいだけだよ〜」
「でもね・・・」
リモンは何か対価を求められるのでは無いかと心配していた、もし自分の身体を求められるのならまだいいが、娘リラを求められたらどうしようかと悩みを抱える。
「お母さん大丈夫だよ。」
リラの根拠の無い言葉でリモンの悩みが晴れる事は無かった。
その頃俺は冒険者プレザとハボをレストランに誘い、話を聞いていた。
「冒険者について聞きたいのですか?」
「ええ、今まであまり関わる事が無かったもので、教えてもらえないでしょうか?」
「かまいませんよ、何でも聞いてください。」
「まあ、慌てずに、カスミちゃんビール持ってきてもらえる?」
「はーい。」
カスミは人数分のビールをグラスについで持ってくる。
「話をするなら酒の一つや二つ必要でしょう。」
「たしかに、ゴウさんはわかってますね。」
「まあこの船で飲める人が俺しかいないものでね、話を口実に一杯付き合ってもらいたいのです。」
「そうでしたか、それならいくらでもお付き合いいたしましょう。」
プレザはカスミから受け取ったビールを一口飲む。
「なっ!冷えてる!いやそれよりこの喉越しはなんだ!こんなにうまいエールは飲んだことないぞ!」
「これはエールじゃなくてビールという物です。」
「ビール、何が違うのでしょうか?」
「作る材料?作り方?何かが違っているのですが、浅学の為に覚えていませんが・・・
上手ければいいのです!」
「たしかにそうだな!深く考えるのは学者の仕事だ、俺達は美味しく飲めたらいいんだ。」
プレザはビールを一気に飲み干す。
「いける口だな、俺も。
ぷはぁ〜カスミちゃん、おかわり〜」
「お兄ちゃん、飲み過ぎに気をつけてよ、はいこれおつまみ。」
カスミはおつまみになりそうな物を皿に入れて持ってきてくれ、空いたグラスを手にビールを入れてくれた、
「出来た妹さんですね。」
「正確には親戚の子なんですけどね、いい子ですよ。」
「親戚でしたか、ご家族はどちらに?」
「此処からは遠い場所でしょうか、なんとか帰してあげたいのですが・・・」
「これは失礼、込み入った事情がお有りみたいですな。」
「いえいえ、お気になさらず、それより冒険者とはどういったものなのでしょう?」
「おっと、あまりにビールが美味すぎて本題を忘れるところでした。
冒険者というのは・・・」
俺達はビール片手に談話を繰り広げるのだった。
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