第132話 子供達
「みつけた〜
ゴウさ〜ん〜」
俺が歩いていると元気な声が聞こえてくる。
「あれ、たしかノースくんとリラちゃんだったかな?」
「はい、リラです。」
「ノースです。」
「二人ともどうしたのかな?」
「あのですね、トイレの事なんですけど、お水が流れるんですけど流しても大丈夫なんでしょうか?」
「ああ、ごめんね説明を忘れていたね、近くのトイレで説明しようか、二人ともついてきて。」
俺は近くにあった共同トイレに向かう。
「用を済ませたら、ここのペーパーで拭いて、このレバーを引いたら流れていくから。」
俺はトイレットペーパーを少しちぎり軽く動作を見せてトイレに入れ、レバーを引いて流す。
「お水使ってもいいの?」
リラは水を使う事を気にしていたマッサを思い出し出質問する。
「大丈夫だよ、水はたくさんあるからね。
そうだ、ついでにお風呂も見せようか?」
「お風呂、お部屋にあった浴槽ですね。
どこからお湯を持ってくるんですか?」
リラの目が輝いている、航海が始まって何日も経ち身体の汚れが気になるのだが船では貴重な水を身体を拭く為に使う事を許されていなかった。
「お湯は蛇口をひねれば・・・」
「ゴウさん!息子と娘が失礼しました!」
「マッサさん、失礼な事なんてありませんよ、私が説明が足りてなかっただけです。
この子達には説明しましたがこの船で水は充分にあります、そうだ、そこに大浴場があるので見てもらったほうが早いですね。」
俺は大浴場に場所を移す。
「これは!!」
マッサは並々と張られた湯に目を丸くする。
「大浴場です、朝5時半から夜10時半の間ならいつでもお湯を張ってますので自由にお使いください。」
「ゴウさん、船でお風呂など王侯貴族でも出来ない贅沢ですよ。」
「これからは出来るようになりますよ、まだ値段などは決めていませんがこの船を使ってジョージア王国とラニアン王国を繋ぐ定期船を運航すると思いますので。」
「定期船!!たしかに魔物が来ないというなら定期船も可能だと思いますが・・・」
「まあ両国の関係とかもありますからすぐにという話ではないですが、幸いジョージア王国にもラニアン王国にも多少の伝手ができましたので、話を持っていく事はできます。」
「両国に伝手が・・・たしかにこのようなチカラをお持ちならどの国も優遇されますな。」
「まあね、多少なり町の発展になってるとは思うよ。」
「ゴウさんは落ち着いたらジョージア王国とラニアン王国で交易を考えておられるのですか?」
「考えてないよ、俺がするのは定期船を運航するだけ、交易は他の商人が自由にしたらいいよ。」
「なんと、交易を独占すれば莫大な富を築くことも可能ですよ。」
「それほど稼がなくても充分にお金は入ってくるからね、一人勝ちで敵を増やすより、みんなに利益を分けたほうが恨まれる事が少なくて済むだろ?」
「・・・私は商人をしておりますがゴウさんのような境地に立っておりませぬな。
いやはや、自分の小ささを感じました。」
「私が特殊なんだと思いますよ。」
自分を卑下しようとしたマッサを止めて俺自身ご変なのだと伝えることにした。
「ねえ、お父さん。そんな話はいいから、ゴウさんお風呂の説明お願いします!」
「そうだったね、リラちゃん。
お風呂の入り方は・・・」
俺はタオルの置き場から始まり、蛇口の使い方など入浴に必要な事を教えるのであった・・・
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