第118話 今後の説明

「マナブくんとリュウタくん、二人に話があるんだ。」

俺は中学生の纏め役になりそうな二人に声をかける。

「なんだよ、なんかようか?」

「リュウタくん、その態度は止めたほうがいい、ゴウさんでしたよね、私達に話とはなんでしょうか?」

リュウタはぶっきらぼうに、マナブは一応年長者の俺を立ててくれるような感じを受ける。

 

「君達の今後についてだ。」

「なんだ?此処にいるんじゃ無いのか?」

「当面の間は居るのはかまわないけど、いつまでも駅の中に滞在し続けるつもりかい?」

「はぁ?何が言いたいんだよ。」

「君達もいずれは大人になり、家庭を持とうと思うかもしれない、だけど此処で何もせずにいたらどうやって家族を養うつもりかい?」

「そんなの知らねえよ。」

「この世界では君達ぐらいから働いている人は多くいる、今すぐどうということはないけど、今後の進路については真剣に考えて欲しい。」


「・・・カスミはどうするんだよ?」

「カスミちゃんは親戚だからね、俺が面倒みるつもりだし、進路についても最大限の援助をするから特に問題になる事は無い。」


「・・・ゴウさんは私達にどうしろと?」

リュウタはどことなく納得していない様子だが、マナブの方は理解出来たのか身を正して聞いてくる。


「今のうちにこの世界で生きていく手段を身に着けてほしいと思っているよ。」

「自分達はまだ中学生ですが?」

「残念ながらこの世界で中学生という肩書は役に立たない。

今すぐにというわけではではないけど、ちゃんと先を見据えていないと暮らしていけなくなるよ。」

「なんだよ、進路なんて、てめぇは先公か!」

「あいにく教師じゃないんだ、だからこそ君達の進路に責任を持つことは無いし、それこそ君達を保護している事は善意で行っているだけだと理解して欲しい。」

「なんだと!」

「落ち着けリュウタ!

・・・ゴウさんはゆくゆくは此処から出ていけと言いたいのですか?」

「出ていけというのは乱暴になるね、まずは働いて金銭を稼ぐ事を覚えてほしい、お金があれば外に出る事も出来るし、今後生活していく為にも金銭感覚は大事だと思う。」


「働くですか、たしかに何もしないで日がなホテルに滞在するのは堕落するだけですね。」

マナブも思う事はあった、高級ホテルに滞在している現状、敵であるマコトがいた為、多少の緊張感があって過ごしていたが、その中でも料理やデザート、スパを堪能する者もいたのだ、今後緊張感が無くなれば更に入り浸る事は予想される。


「そこで提案なんだが、君達の中で働く意欲のある人に仕事を提供したいと思う。」

「仕事ですか?」

「ああ、1時間で銀貨1枚、職場は駅構内に作る販売店の店員だ。」

「販売店の店員ですか?」

「そう商品の運搬と陳列、そして販売かな。」


「銀貨1枚というとどれぐらいの価値なんでしょう?」

「そうだね、普通の宿に一泊するのに銀貨2枚ぐらいで泊まれるはずだよ。」

「この世界の貨幣はどうなっているのでしょう?」

「銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、金貨100枚で白金貨1枚って感じで100枚事に硬貨が変わるかな。」

「なるほど、時給自体はかなり高額だということですね。」

「まあ厳しい事を言ったが君達を迫害したい訳では無いからね。」


「おいマナブどういう事だ?」

「リュウタ、一泊銀貨2枚という事は、銀貨1枚だいたい五千円ぐらいの価値があると考えれる。

時給五千円、これが高いか安いかなんて考えなくてもわかるだろ。」

「時給五千円!!」

「物価に差があるから一概には言えないけどね。」


「ゴウさんとしてはお金を手にする事で私達の生活が立ち行く、いえ、その前にお金を使う事を覚えさせようということですね。」

「その通りだね、勿論強要はしない、働きたい人に働いてもらうから、ただ人があまりに集まらないようなら、他に人を雇うけど、そうなると君達の枠が減る事は理解して欲しいかな?」

「ええ、みんなには説明しますから、この話受けさせてください。」

「マナブくん、君には纏め役をお願いしたいと思うよ。」

マナブが理解してくれたので中学生の纏め役を任せるのだった。

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